集中力は「意志」ではなく「設計」|40代・50代の気が散らない仕事術

シルスプのブログにようこそ
「仕事を始めたのに、メールを確認していたら時間が過ぎていた」
「スマートフォンの通知が気になって、なかなか仕事に集中できない」
「やることはわかっているのに、気づくと別のことをしている」
こんな経験はありませんか。
40代・50代になると、仕事の経験が増える一方で、家族のこと、お金や老後のこと、健康、家事、介護など、考えることも増えていきます。
集中できないと、「昔より集中力が落ちたのかな」「もっと意志を強くしなければ」と考えてしまうかもしれません。
しかし、集中できない原因を、すべて意志の弱さに結びつける必要はありません。
通知やメールが頻繁に届き、複数の仕事を抱え、疲れた状態で作業をしていれば、誰でも注意がそれやすくなります。
大切なのは、気合いだけで集中しようとすることではなく、集中しやすい時間と環境、仕事の進め方をあらかじめ設計することです。
今回は、ニール・イヤールの著書『Indistractable: How to Control Your Attention and Choose Your Life』の考え方を参考に、40代・50代が仕事に集中しやすい状態を作る方法を紹介します。
目指すのは、もっと長時間働くことではありません。大切な仕事を進め、自分の時間を取り戻すことです。
集中できないのは、意志が弱いから?
仕事中にスマートフォンを見る。メールが届くと、すぐに確認する。SNSを少しだけ見る。気になることを検索する。
こうした行動が続くと、「自分には集中力がない」と感じることがあります。
けれども、私たちの周囲には、注意を引きつけるものがたくさんあります。
- スマートフォンの通知
- メールやチャット
- SNSやニュース
- 電話や周囲からの声かけ
- 次々に入ってくる依頼
- 気になっている別の仕事
集中しにくい環境にいながら、意志の力だけで集中し続けようとするのは簡単ではありません。
そこで考えたいのが、集中を邪魔するものを減らし、集中しやすい条件を先に整えることです。
気が散る原因は「外側」と「内側」にある
集中を妨げる要因は、大きく分けると2つあります。
1. 外から入ってくる刺激
代表的なのは、通知、メール、電話、SNSなどです。
スマートフォンの通知が鳴ると、内容を確認したくなります。一度確認しただけのつもりでも、別の情報を見たり、返信を始めたりして、元の仕事に戻るまで時間がかかることがあります。
この場合、「通知が来ても無視しよう」と我慢するより、必要のない通知を最初からオフにするほうが実践しやすいでしょう。
2. 自分の内側から生まれる衝動
もう一つは、自分の気持ちや考えから生まれる「気が散る」です。
- そういえば、あれをやらなければ
- このメールも返さないと
- さっきの件が気になる
- 作業が難しいので、別の仕事をしたい
- 失敗しそうで不安になる
- 少し疲れたので、何か別のことをしたい
こうした気持ちが浮かぶと、目の前の仕事から注意がそれることがあります。
そのため、集中力を整えるには、外部の刺激を減らすだけでなく、自分がどんな気分のときに別の行動へ移りたくなるのかを知ることも大切です。
まずは「気が散るもの」を減らす
集中力を高めようとすると、新しいアプリや仕事術を試したくなるかもしれません。
しかし、最初に取り組みたいのは、集中を邪魔するものを減らすことです。
たとえば、次のような方法があります。
- スマートフォンを机から離す
- 不要な通知をオフにする
- メールを常時確認しない
- SNSを仕事中に開かない
- ブラウザの不要なタブを閉じる
- 作業に必要な資料だけを開く
- 集中する時間を周囲に伝える
- チャットのステータスを「取り込み中」にする
- 可能であれば、集中時間に会議を入れない
すべてを一度に変える必要はありません。
まずは、仕事中に気になりやすいものを一つ選び、目に入らないようにしてみましょう。
誘惑に勝とうとするより、誘惑と戦わなくてよい環境を作る。
これが、意志力だけに頼らない集中の設計です。
スマートフォンは「見ない」より「見えない」
スマートフォンは便利な道具ですが、仕事中の注意を奪う原因にもなります。
「仕事中は見ない」と決めても、手元に置いてあれば、つい気になってしまうことがあります。
そこで、スマートフォンとの距離を作ります。
- SNSやニュースの通知をオフにする
- 集中時間にはおやすみモードを利用する
- 机の引き出しやバッグにしまう
- 可能なら別の部屋に置く
- 仕事に必要なアプリだけ通知を許可する
仕事上、すぐに電話に出る必要がある人は、緊急連絡だけ受け取れる設定にするなど、業務に合わせて調整しましょう。
スマートフォンを完全に使わないことが目的ではありません。必要なときに使い、それ以外の時間は目の前の仕事に注意を向けやすくすることが目的です。
アプリが人の注意を引きつけ、何度も使いたくなる仕組みについては、『Hooked ハマるしかけ』に学ぶ習慣化の仕組みでも紹介しています。
「時間ができたら」ではなく、先に時間を確保する
集中して取り組みたい仕事ほど、「時間ができたらやろう」と後回しになりがちです。
しかし、メールや会議、電話、依頼への対応を続けていると、気づけば一日が終わってしまいます。
そこで、集中したい仕事を先に予定へ入れてみましょう。
たとえば、次のように時間を区切ります。
| 時間 | 取り組む仕事 |
|---|---|
| 9:00〜9:30 | 企画書の骨組みを作る |
| 10:00〜10:30 | 必要な資料を整理する |
| 14:00〜14:45 | 重要な作業を進める |
| 16:00〜16:15 | メールをまとめて確認する |
これは一例です。実際には、勤務時間や会議、職場のルールに合わせて調整してください。
大切なのは、何をするかだけでなく、いつ取り組むかまで決めることです。
まとまった時間を確保できない場合は、15分や25分など、短い時間から始めても構いません。
「やること」だけでなく「やらないこと」を決める
仕事を効率化しようとすると、新しいツールを導入したり、作業を増やしたりしがちです。
けれども、40代・50代になると、仕事以外にも大切なことがあります。
やることを増やすだけでは、集中する余裕がなくなってしまうかもしれません。
そこで、「やらないこと」も決めてみましょう。
- すべてのメールに即返信しない
- メールを受信するたびに確認しない
- 必要のない会議への参加を見直す
- 緊急性の低い通知を受け取らない
- 仕事中にSNSを開かない
- 一つの作業の途中で、別の作業に次々と移らない
- 依頼をその場ですべて引き受けない
- 必要以上に完璧を目指さない
もちろん、仕事上すぐに対応しなければならないこともあります。すべての依頼を断るのではなく、緊急度や重要度を考えて対応することが大切です。
集中力は、何かを追加することだけで高まるものではありません。注意を奪うものを減らすことも、集中のための大切な工夫です。
マルチタスクより「今やることを一つにする」
複数の仕事を同時に進めることが、仕事のできる人の条件だと思われることがあります。
しかし、資料を作りながらメールを確認し、チャットに返信して、また資料に戻るという行動は、多くの場合、注意を短い間隔で切り替えている状態です。
複雑な作業を何度も切り替えると、時間や正確性に影響することがあります。
そのため、集中したい時間には、今やる仕事を一つに絞ることを意識してみましょう。
たとえば、企画書を作る時間なら、まず企画書の作成に取り組みます。メールの確認は、あらかじめ決めた時間にまとめます。
仕事の内容や職場の状況によっては、途中で対応が必要になることもあります。それでも、可能な範囲で作業を区切り、一つずつ進めるだけで、仕事の流れを整理しやすくなります。
今日の最重要タスクを一つ決める
朝、仕事を始める前に、次の質問をしてみましょう。
「今日、必ず前に進めたい仕事は何だろう?」
すべての仕事を一度に片づけようとするのではなく、まず一つ、重要な仕事を選びます。
「企画書を完成させる」のような大きな目標でも、最初の一歩を具体的にすれば取り組みやすくなります。
- 企画書の見出しを3つ作る
- 提案に必要な資料を2つ確認する
- 報告書の最初の段落を書く
- 提案先への質問を整理する
こうして作業を小さくすると、何から始めればよいかわからない状態を避けやすくなります。
気になったことはメモに書き出す
集中しているときに、「そういえば、あれを調べなければ」と思いつくことがあります。
そのたびに作業を中断していると、目の前の仕事がなかなか進みません。
そこで、気になったことをすぐに処理するのではなく、メモに書いておきます。
- あとで確認する
- 明日メールする
- 買い物リストに追加する
- 調べたいことを書き留める
- 次の会議で確認する
紙のメモでも、スマートフォンのメモアプリでも、タスク管理ツールでも構いません。自分が後から確認できる方法を使いましょう。
頭に浮かんだことを忘れない仕組みがあれば、すぐに行動へ移さなくてもよくなります。
別のことをしたくなったら「なぜ今なのか」と考える
集中しているときに、スマートフォンを見たくなったり、別の仕事に移りたくなったりすることがあります。
そのとき、すぐに行動するのではなく、自分に問いかけてみましょう。
「私は今、何を感じているのだろう?」
たとえば、次のような気持ちが隠れているかもしれません。
- 作業が難しくて困っている
- 退屈している
- 不安や焦りを感じている
- 失敗したくない
- 疲れている
- 何から手をつければよいかわからない
集中できないように見えて、実際には作業への不安や疲れが原因になっていることもあります。
原因に気づいたら、対策を変えてみましょう。
| 気づいたこと | 試したい工夫 |
|---|---|
| 作業が大きすぎる | 小さな工程に分ける |
| 最初の一歩がわからない | 10〜15分でできる作業を決める |
| 失敗が不安 | まず箇条書きで下書きを作る |
| 疲れている | 休憩を取り、再開する時間を決める |
| 完成条件が曖昧 | どこまでできれば完了かを決める |
気が散った自分を責めるより、行動のきっかけを知り、次にどうするかを考えることが大切です。
集中できる時間と条件を見つける
集中しやすい時間帯には個人差があります。
朝のほうが頭が働く人もいれば、午後のほうが取り組みやすい人もいます。また、睡眠や体調、仕事の内容、周囲の環境によっても変わります。
最初から長時間集中しようとする必要はありません。
まずは15分や25分など、短い時間で試してみましょう。慣れてきたら、30分、45分と、自分に合う長さを探します。
1週間だけ記録してみる
集中しやすい条件を見つけるために、簡単な記録をつける方法もあります。
| 記録項目 | 例 |
|---|---|
| 集中しやすい時間帯 | 午前9時〜10時 |
| 作業内容 | 文章作成 |
| 集中できた時間 | 25分 |
| 気が散った原因 | メール通知 |
| 次に変えること | 通知を一時的にオフにする |
記録する目的は、毎日長時間集中できるようにすることではありません。
自分が集中しやすい時間帯や環境を知り、少しずつ仕事の進め方を調整することです。
集中しやすい環境を一度整えるだけでなく、毎日の行動として定着させたい方は、『習慣の力』×『Atomic Habits』の実践ガイドも参考にしてください。
疲れているときは、集中力だけの問題にしない
仕事に集中できないとき、環境や仕事の進め方を見直すことは役立ちます。
ただし、睡眠不足や疲労、ストレスなどが影響している場合もあります。
- 睡眠が足りていない
- 仕事や家事の疲れがたまっている
- 休憩を取れていない
- 食事を抜いている
- 長時間座り続けている
- ストレスが続いている
こうした状態では、注意を保ちにくくなることがあります。
「集中できない。もっと頑張らなければ」と考える前に、睡眠や休憩、仕事量を見直してみましょう。
強い疲労感、日中の強い眠気、睡眠の問題、気分の落ち込み、物忘れなどが長く続く場合は、仕事術だけで解決しようとせず、医療機関などの専門家に相談してください。
集中できる状態を整えることも、仕事の一部です。
40代・50代こそ、集中して生まれた時間を大切にする
集中力を高める目的は、仕事をもっと詰め込むことではありません。
大切な仕事を効率よく進められたら、その分の時間を自分にとって大切なことに使うこともできます。
- 家族との時間
- 趣味や読書
- 運動や健康づくり
- ペットと過ごす時間
- 新しいことを学ぶ時間
- 自分自身の休息や睡眠
40代・50代になると、仕事だけでなく、これからの人生で何を大切にしたいかを考える機会も増えていきます。
だからこそ、何時間働いたかだけでなく、何に時間を使えたかにも目を向けてみましょう。
集中力は、人生を仕事だけで埋めるための能力ではありません。自分が大切にしたいことへ時間を使うための道具です。
今日からできる「15分の集中設計」
まずは、次の5つを試してみましょう。
1. 作業を一つ選ぶ
「企画書を完成させる」ではなく、「企画書の見出しを3つ作る」のように具体的にします。
2. 通知を一時的に切る
業務に支障のない範囲で、メールやSNSなどの通知をオフにします。
3. スマートフォンを離す
机の上から移動させ、できるだけ視界に入らない場所へ置きます。
4. メモを用意する
作業中に気になったことは、すぐに調べず、メモに書き留めます。
5. 15分だけ取り組む
15分経ったら、そのまま続けても、いったん休憩しても構いません。
目的は長時間働くことではなく、自分が集中しやすい条件を確認することです。
集中力は「意志」ではなく「設計」で変えていく
集中できないと、「もっと頑張らなければ」「意志が弱いのかもしれない」と考えてしまうことがあります。
しかし、意志の力だけに頼る必要はありません。
- 通知を減らす
- スマートフォンを遠ざける
- 集中する時間を先に決める
- 今やる仕事を一つにする
- 気になったことをメモする
- 別の行動をしたくなる理由を考える
- やらないことを決める
- 疲れているときは休む
こうした小さな工夫を積み重ねることで、集中しやすい環境を作っていけます。
そして、集中して仕事を終えたら、そこで生まれた時間を自分の人生に戻していきましょう。
仕事、家族、趣味、健康、学び。
何を大切にするかは、人それぞれです。
「もっと頑張る」のではなく、「気が散りにくいように設計する」。
まずは今日、通知を一つ減らすことから始めてみてはいかがでしょうか。
では、またね~。
免責事項
本記事は、集中力や仕事の進め方についての一般的な情報を紹介するものです。特定の方法による効果を保証するものではありません。
集中しにくい状態が長く続く場合や、強い疲労感、日中の強い眠気、睡眠の問題、気分の落ち込み、物忘れなどがある場合は、仕事術だけで解決しようとせず、医療機関などの専門家に相談してください。
本記事は『Indistractable』の考え方を参考に構成したものであり、書籍の全内容を網羅するものではありません。
書籍情報
『Indistractable: How to Control Your Attention and Choose Your Life』
著者:ニール・イヤール(Nir Eyal)
原著出版:2019年
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