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「今年こそ運動を習慣にしよう」
「毎朝、本を読む時間をつくろう」
「スマホやSNSを見る時間を減らそう」

そう決めたのに、気づけば元の生活に戻っている。そんな経験はありませんか?

仕事や家事、人付き合いなど、毎日やることが多い40代・50代。新しい習慣を始めたくても、思うように続かないことがあります。

けれど、続かなかったからといって、意志が弱いとは限りません。

習慣を変えるには、気合いや根性だけでなく、行動を始めやすくし、無理なく続けられる仕組みをつくることが大切です。

そのヒントを与えてくれるのが、チャールズ・デュヒッグ著『習慣の力』と、ジェームズ・クリアー著『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』(原題:Atomic Habits)です。

『習慣の力』は、習慣がどのように生まれ、続いていくのかを理解するための本。『Atomic Habits』は、望ましい習慣を日常に取り入れる具体的な方法を学べる本です。

この記事では、2冊の違いと共通点を比較しながら、40代・50代が日々の生活に取り入れやすい習慣化の方法を紹介します。

なぜ習慣は続かないのか? 意志の強さだけでは解決できない理由

「続かなかった自分」を責める前に

運動を始めても三日坊主になる。読書をしようと思っても、帰宅後は疲れて本を開けない。スマホを見る時間を減らしたいのに、気づけば何十分も画面を眺めている。

こうした行動は、珍しいことではありません。

私たちは、慣れた行動を繰り返しやすい一方、新しい行動を始めるときには、時間や手間、心理的な負担を感じることがあります。

特に仕事や家庭で多くの役割を担っている人は、新しい習慣に使える時間や余力が限られているかもしれません。

そこで必要なのは、自分を責めることではなく、次の3つを見直すことです。

  • きっかけ: どんな場面で、その行動が始まるのか
  • 行動の負担: 始めるまでに、どんな手間があるのか
  • 得られる満足感: その行動を続けると、どんなよいことがあるのか

習慣化を「自分の性格の問題」ではなく「行動の設計の問題」として捉え直すことが、変化の第一歩になります。

年齢よりも、生活環境と仕組みに目を向ける

40代・50代になると、長年続けてきた生活パターンが定着していることがあります。また、仕事や家庭の事情によって、自由に使える時間が少ない場合もあります。

だからといって、新しい習慣を身につけられなくなるわけではありません。

大切なのは、これまでの生活をすべて変えようとしないことです。すでにある行動を手がかりにしたり、始めるまでの手間を減らしたりすることで、新しい行動を取り入れやすくなります。

その考え方を理解するのに役立つのが、これから紹介する2冊です。

習慣を変えるには、行動の仕組みを整えるだけでなく、自分の判断のクセを知ることも役立ちます。人が直感で判断する仕組みや認知バイアスについては、こちらの記事で解説しています。

▶ 『ファスト&スロー』に学ぶ判断力|40代・50代が知っておきたい思考のクセと認知バイアス

『ファスト&スロー』|なぜ賢い人ほど判断を誤るのか。40代・50代が知るべき思考の科学
『ファスト&スロー』に学ぶ判断力|40代・50代が知っておきたい思考のクセと認知バイアスダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』をもとに、なぜ賢い人ほど判断を誤るのかを解説。システム1とシステム2、認知バイアス、40代・50代のビジネス判断に役立つ思考の科学をわかりやすく紹介します。...

『習慣の力』——習慣が生まれる仕組みを理解する

本書の特徴

チャールズ・デュヒッグ著『習慣の力』は、習慣の仕組みを個人の生活だけでなく、企業や組織、社会の事例からも考察する一冊です。

習慣を変えようとしても、なぜ元に戻ってしまうのか。なぜ、ある行動は意識しなくても繰り返してしまうのか。

本書は、そうした疑問を「習慣ループ」という考え方から読み解きます。

習慣ループの3つの要素

本書で広く知られているモデルが、次の3つの要素です。

キュー(きっかけ)→ ルーティン(行動)→ 報酬

  • キュー: 行動を始めるきっかけ。時間、場所、気分、直前の行動など
  • ルーティン: 実際に繰り返している行動
  • 報酬: 行動のあとに得られる満足感や安心感、気分転換など

たとえば、帰宅後にソファへ座ると、自然にスマホを開いてしまうとします。

この場合、ソファに座ることがきっかけになり、SNSを見ることが行動になっている可能性があります。SNSを見ることで、気分転換や刺激が得られているのかもしれません。

この流れに気づけば、ただ「スマホを見ない」と決めるのとは違う対策を考えられます。

帰宅後に先に着替えて散歩する、スマホを手の届かない場所に置く、別の方法で休憩するなど、行動の流れを変える工夫ができるからです。

習慣を変えるときは、行動の流れを見直す

長く続いている行動を変えたいときは、まず、どんなきっかけで始まり、何を得ているのかを観察してみましょう。

そのうえで、必要に応じて行動を別のものに置き換えます。

たとえば、ストレスを感じると甘いものを食べる習慣がある場合、食べることによって気分転換をしているのかもしれません。

その場合は、短い散歩や温かい飲み物、数分の休憩など、自分に合った別の方法を試せます。

もちろん、すべての習慣が同じ仕組みで説明できるわけではありません。それでも、自分の行動を観察し、きっかけや満足感を探ることは、改善策を考える手がかりになります。

個人だけでなく、組織の習慣にも目を向ける

『習慣の力』の特徴は、個人の行動だけでなく、組織や社会の習慣にも目を向けていることです。

職場で同じ問題が何度も起こるとき、個人の努力だけで解決しようとしても限界があります。情報共有の手順や会議の進め方、仕事を引き継ぐ仕組みなど、環境やルールを見直す必要があるかもしれません。

管理職やチームをまとめる立場の人にとっても、習慣を個人の意志だけでなく、環境や仕組みから考える視点は役立ちます。

『習慣の力』はこんな人におすすめ

  • なぜ同じ行動を繰り返してしまうのか理解したい人
  • 自分の生活習慣を見直すきっかけがほしい人
  • 部下やチームの行動、職場の慣習について考えたい人
  • 実践方法だけでなく、習慣の背景にある仕組みも知りたい人

『習慣の力』は、まず「自分の行動を観察する視点」を得たい人に向いています。

書籍: 『習慣の力 The Power of Habit』
電子版はこちら(楽天Kobo)

『Atomic Habits』——小さな行動を続けられる仕組みに変える

本書の特徴

ジェームズ・クリアー著『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』は、習慣をつくるための具体的な工夫を学べる一冊です。

大きな目標を立てるだけでは、日々の行動はなかなか変わりません。本書では、習慣を始めやすくし、続けやすくするための方法が体系的に紹介されています。

中心となるのが、行動を変えるための4つの法則です。

法則1:明確にする

新しい習慣を、いつ、どこで行うのか具体的に決めます。

「毎日読書する」だけでは、忙しい日に後回しになりやすいかもしれません。

そこで、「朝、コーヒーを淹れたら本を1ページ読む」と決めてみます。

既存の行動に新しい習慣を結びつけると、始めるきっかけが明確になります。

法則2:魅力的にする

新しい習慣を、自分が楽しみにしていることと組み合わせます。

たとえば、好きな音楽を聴きながら片づける、散歩中にお気に入りの番組を聴くなどです。

義務感だけで続けようとするのではなく、行動に楽しみを加える工夫をします。

法則3:簡単にする

始めるまでの手間を減らします。

毎日30分読書することを目標にしても、忙しい日は取りかかるのが難しいかもしれません。

最初は「本を開いて1ページ読む」だけでも構いません。

本書で紹介される「2分ルール」は、新しい習慣を始めやすい小さな行動に縮める考え方です。最初から大きな成果を求めず、まず行動を始めることに重点を置きます。

法則4:満足できるものにする

行動のあとに、達成感を得られるようにします。

手帳にチェックを入れる、カレンダーに印をつけるなど、実行したことを目に見える形にする方法があります。

ただし、記録をつけること自体が負担になっては本末転倒です。自分が簡単に続けられる方法を選びましょう。

目標だけでなく、日々のシステムをつくる

本書が伝える重要な考え方の一つは、目標だけでなく、目標に向かうための日々の仕組みを整えることです。

たとえば、「体重を5kg落とす」という目標を立てても、毎日の行動が決まっていなければ、何から始めればよいか迷ってしまいます。

一方で、「朝食後に10分歩く」「夕食のあとに翌日の準備をする」といった具体的な行動を決めれば、日常生活の中で実践しやすくなります。

目標は進みたい方向を示すもの。システムは、その方向へ進むための日々の行動を支えるものです。

「自分はどんな人でありたいか」を考える

『Atomic Habits』では、行動を変えることに加え、自分がどんな人でありたいかというアイデンティティの視点も重視されています。

「運動をしなければならない」と考えるだけでなく、「自分の健康を大切にする人でありたい」と考えてみる。

そして、その考えに沿った小さな行動を積み重ねていきます。

一度の行動ですぐに自分が変わるわけではありません。しかし、小さな行動を繰り返すことで、自分の望むあり方を日々の生活に反映しやすくなります。

『Atomic Habits』はこんな人におすすめ

  • 具体的な習慣化の方法を知りたい人
  • 運動、読書、学習などを生活に取り入れたい人
  • 大きな目標を立てても、行動が続かない人
  • 始めるまでの手間や心理的な負担を減らしたい人

まず一つの習慣を変えてみたいなら、実践方法が具体的な本書から読むのもよい選択です。

書籍: 『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』
電子版はこちら(楽天Kobo)

『習慣の力』と『Atomic Habits』を比較

2冊は、習慣を違う角度から考えています。

比較項目『習慣の力』『Atomic Habits』
主な関心習慣が生まれ、続く仕組み習慣を始め、続ける方法
中心となる考え方きっかけ・行動・報酬のループ行動変容の4つの法則
特徴個人・組織の事例から習慣を理解する日常に応用しやすい方法が豊富
向いている人まず仕組みを理解したい人具体的な方法を試したい人

簡単にいえば、『習慣の力』は「なぜ、こうした行動を繰り返すのか」を考えるための本。『Atomic Habits』は「では、どのように行動を変えるか」を考えるための本です。

どちらか一冊だけでも学びはありますが、両方を読むと、習慣を理解する視点と実践する視点を組み合わせられます。

読む順番に決まりはありません。

仕組みを理解してから実践したい人は『習慣の力』から、まず行動を変えてみたい人は『Atomic Habits』から読むとよいでしょう。

40代・50代が今日から始める習慣化の5ステップ

ここからは、2冊の考え方を日常生活に取り入れるための実践方法を紹介します。

大切なのは、いくつもの習慣を同時に変えようとしないこと。まずは一つだけ選び、無理なく試してみましょう。

STEP1:変えたい行動を観察する

最初に、続けたい習慣、あるいは減らしたい行動を一つ選びます。

たとえば、帰宅後にSNSを長時間見てしまう場合は、次の項目を書き出してみましょう。

  • 行動: 帰宅後にSNSを見続けてしまう
  • きっかけ: ソファに座る、スマホを手に取る
  • 得られるもの: 気分転換、情報、退屈しのぎ
  • 変えてみたいこと: SNSを見る前に、着替えや短い散歩をする

自分の行動を観察すると、単に「やめる」と決めるよりも、実行しやすい対策を考えられます。

STEP2:最初の行動を小さくする

新しい習慣は、始める負担が少ない形にします。

理想の習慣最初の小さな行動
毎朝30分歩く玄関で靴を履く、または5分歩く
毎日30分読書する本を開いて1ページ読む
毎朝10分瞑想する座ってゆっくり呼吸する
毎日英語を学ぶアプリを開いて1問解く
毎朝タスクを整理する今日やることを一つ書く

小さな行動は、最終目標そのものではありません。始めるハードルを下げ、繰り返しやすくするための入口です。

余裕がある日は、そのまま長く続けても構いません。疲れている日は、最小限の行動だけでもよいと考えましょう。

STEP3:すでにある行動に結びつける

「毎朝7時にやる」と時刻だけで決めるよりも、いつもの行動に新しい習慣を結びつける方法があります。

  • コーヒーを淹れたら、本を1ページ読む
  • 歯を磨いたら、軽くストレッチする
  • 昼食を終えたら、少し歩く
  • パソコンを起動したら、今日の優先事項を一つ確認する

すでに生活の中にある行動をきっかけにすれば、始めるタイミングを思い出しやすくなります。

STEP4:行動したことを記録する

手帳やカレンダーに印をつけるなど、実行したことを簡単に記録します。

記録の目的は、完璧に続けたかどうかを採点することではありません。自分がどのくらい実行できているかを把握し、続けやすい方法を見つけることです。

一日できなかったとしても、そこで失敗と決めつける必要はありません。

翌日に再開できるよう、行動を小さくしたり、実行するタイミングを変えたりしてみましょう。

STEP5:「どんな自分でありたいか」を考える

最後に、習慣を通して実現したいことを考えます。

  • 健康を大切にする自分でありたい
  • 新しいことを学び続ける自分でありたい
  • 落ち着いて一日を始められる自分でありたい

こうした方向性を決めたうえで、毎日の小さな行動につなげていきます。

大切なのは、宣言しただけで自分が変わると考えることではありません。自分が大切にしたい価値観と、日々の行動を少しずつ一致させていくことです。

習慣化でつまずいたときに見直したい3つのこと

1. 最初から頑張りすぎていないか

毎日30分の運動や1時間の読書が負担になるなら、もっと小さくしてみましょう。

続けられないときは、目標が大きすぎる、時間帯が合わない、準備に手間がかかるなど、設計を見直す余地があります。

2. 行動を始めるまでに手間がかかっていないか

運動着を前日に用意する、読みたい本を目につく場所に置く、スマホの通知を減らすなど、環境を整える方法もあります。

意志の力に頼るだけでなく、望ましい行動を始めやすくし、避けたい行動には少し手間がかかるようにしてみましょう。

3. できなかった日に、自分を責めていないか

習慣は、毎日一度も途切れずに続けなければ意味がないものではありません。

体調や仕事の都合でできない日もあります。大切なのは、できなかった理由を振り返り、再開しやすい方法を考えることです。

ただし、体調が悪いときまで無理に実行する必要はありません。休むことも含めて、長く続けられる仕組みをつくりましょう。

まとめ|習慣は、意志だけでなく仕組みから変えていく

『習慣の力』と『Atomic Habits』は、習慣を変えるための異なる視点を与えてくれます。

『習慣の力』から学べること

  • 習慣を、きっかけ・行動・報酬の流れから考える
  • 自分がどんな場面で同じ行動を繰り返すのか観察する
  • 個人の行動だけでなく、組織や環境の習慣にも目を向ける

『Atomic Habits』から学べること

  • 新しい習慣を始めやすい大きさにする
  • 既存の行動に結びつけ、きっかけを明確にする
  • 行動の負担を減らし、実行したことを記録する
  • 自分が大切にしたい価値観と日々の行動を結びつける

40代・50代からでも、生活の中に新しい習慣を取り入れることはできます。

ただし、最初から大きく変えようとする必要はありません。

まずは、本を1ページ読む。いつもより少し歩く。スマホを置いて数分休む。

そんな小さな行動から始めてみましょう。

習慣を変えることは、自分を無理に作り替えることではありません。今の自分の生活に合う仕組みを見つけ、望む方向へ少しずつ進むことです。

あわせて読みたい

判断や行動の心理について、さらに理解を深めたい方はこちらもどうぞ。

書籍情報

『習慣の力 The Power of Habit』

『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』

まずは気になった一冊を手に取り、今日から試せることを一つ見つけてみてください。

では、またね~。