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「自分らしく生きたい」
最近、そんな言葉をよく耳にします。

SNSを開けば、「自分らしく生きる」「好きなことを仕事にする」「他人の目を気にしない」といった言葉が並んでいます。
確かに、その通りなのかもしれません。

でも、ふと考えることがあります。
「自分らしく生きるって、具体的にはどういうことなんだろう?」
40代、50代になると、この問いが少し違った形で浮かんでくることがあります。

若い頃なら、
「もっと仕事ができるようになりたい」
「昇進したい」
「収入を増やしたい」
「認められたい」

そんな目標に向かって進んでいけました。

ところが、ある程度のキャリアを積んだ頃から、少しずつ疑問が生まれてくる。

仕事は嫌いではない。これまで頑張ってきたことにも意味がある。周囲から見れば、順調に見えるかもしれない。

それでも、
「私は、この先どう生きたいんだろう?」
「これから何を大切にしたいんだろう?」
と考える。

そんなときに出会ったのが、ジョセフ・キャンベルとビル・モイヤーズによる『神話の力』です。

『神話の力』は、世界の神話を題材にしながら、人間が生きること、愛すること、苦しむこと、そして人生に意味を見いだすことについて語った本です。

神話というと、遠い昔の物語のように感じます。
けれど、その中には、今を生きる私たちにも通じる問いがあります。

今回は『神話の力』を、40代・50代の生き方という視点から考えてみたいと思います。

『神話の力』とはどんな本?

『神話の力』は、神話学者ジョセフ・キャンベルとジャーナリストのビル・モイヤーズによる対話をまとめた本です。

世界各地の神話や宗教、英雄の物語などを題材にしながら、人間にとって神話とは何なのか、人生とは何なのかについて語り合っています。

キャンベルは、神話を単なる昔話として捉えていません。
そこには、

  • 生まれること
  • 成長すること
  • 愛すること
  • 苦しむこと
  • 喪失すること
  • 変化すること
  • 死を意識すること

といった、人間に共通するテーマが込められていると考えました。
だからこそ、何千年も前の物語であっても、現代を生きる私たちの心に響くものがあります。

特に印象的なのが、
「至福を追求する」
という考え方です。

ここでいう「至福」は、単純な快楽や楽しさだけを意味するものではありません。
自分の内側にあるものに耳を傾け、自分が本当に生きたい人生を探していく。
そんな生き方につながる考え方です。

40代・50代になると「人生の意味」を考えたくなる

  • 20代、30代の頃は、「どうすれば成功できるか」を考えることが多かったかもしれません。
  • どんな仕事に就くか
  • どんなスキルを身につけるか
  • どうすれば評価されるか
  • どうすれば収入を増やせるか

こうした目標を追うことは、決して悪いことではありません。
仕事を通じて経験を積み、人との関係を築き、自分自身も成長していきます。

ところが、40代、50代になると問いが変わってくることがあります。
「どうやって成功するか?」から、
「私は何のために、ここまで頑張ってきたのだろう?」へ。

そして、「これから何を大切にして生きたいのだろう?」へ。

これは、後ろ向きな問いではありません。
これまでの経験を積み重ねてきたからこそ、自分の生き方を見つめ直す時期が訪れたともいえるのではないでしょうか。

「成功」と「幸せ」は同じではない

仕事を頑張ってきた人ほど、40代・50代になって、この違いに気づくことがあります。

  • 昇進した
  • 責任のある仕事を任されるようになった
  • 収入も増えた
  • 周囲から評価されるようになった

それなのに、心の中に何か足りないものを感じる。そんな経験はないでしょうか。
仕事で成果を出すことには、もちろん価値があります。

ただ、
「社会的に成功していること」と「自分が幸せだと感じること」は、必ずしも同じではありません。

他人から見た成功と、自分自身が感じる幸せ。
この二つが、少しずつずれてくることがあります。

若い頃は「周囲から認められる自分」を目指していても、それほど違和感がなかったかもしれません。

けれど、経験を重ねるにつれて、
「私は、本当は何を望んでいるんだろう?」
という気持ちが出てくる。

それは、これまでの人生を否定することではありません。
価値観が変化し、これから大切にしたいものが見えてきた。
そう捉えてもいいのではないでしょうか。

「自分らしく生きる」は、好きなことだけをすることではない

「自分らしく生きる」と聞くと、
「好きなことをする」
「嫌なことはしない」
「会社を辞めて自由になる」
というイメージを持つ人もいるでしょう。

でも、それだけではありません。
自分らしく生きるとは
自分にとって何が大切なのかを知り、その価値観に沿って選択すること
なのではないでしょうか。

  • 仕事を続けることが自分らしい人もいる
  • 管理職として人を育てることにやりがいを感じる人もいる
  • 専門性をさらに高めたい人もいる
  • 仕事以外の時間を大切にしたい人もいる
  • 新しい仕事に挑戦したい人もいる
  • 小さな暮らしを楽しみたい人もいる
  • 一人の時間を大切にしたい人もいる

どれが正しいという話ではありません。

大切なのは、
「私はどうしたいのか?」
を自分に問いかけることです。

「人から見た幸せ」に、自分の人生を合わせていないだろうか?

40代・50代になると、同年代との違いを意識する場面も増えてきます。

  • 友人が管理職になった
  • 起業した
  • 結婚した
  • 家を買った
  • 子どもが独立した
  • 海外で暮らしている

そんな姿を見て、
「私の人生は、これでいいのかな」
と比較してしまうこともあります。

でも、他人の人生を基準に、自分の人生を評価する必要はありません。

  • 高い役職に就くことが幸せな人もいる
  • そうではない人もいる
  • 大きな家に住みたい人もいれば、小さな部屋で好きなものに囲まれて暮らしたい人もいる
  • 多くの人と関わりたい人もいれば、一人の時間を大切にしたい人もいる

だからこそ、
「人からどう見えるか」より、「自分はどう感じているか」
を意識してみる。
人生の後半では、そんな視点も大切になってきます。

「自分の道」を歩くには、勇気が必要になる

自分の価値観で生きようとすると、周囲と違う選択をすることがあります。

「そんなことをして何になるの?」
「今の仕事を続けたほうがいいんじゃない?」
「もう年齢的に遅いんじゃない?」

そんな言葉を受けることもあるでしょう。
これまで積み上げてきたものがあるからこそ、方向を変えるには勇気がいります。

だから、「自分らしく生きる」とは、何でも好き勝手にすることではありません。
自分にとって大切なものを見極め、それを守るために選択すること。

ときには、周囲に理解されなくても、自分に必要な道を選ばなければならない。
そこには、勇気だけでなく覚悟も必要なのだと思います。

人生の意味は、最初から決まっているものではない

『神話の力』を読んで考えさせられるのは、
「人生には、最初から一つの正解が用意されているわけではない」
ということです。

私たちは、
「自分の使命は何だろう?」
「何のために生まれてきたのだろう?」
と考えることがあります。

でも、人生の意味がどこかに完成された形で存在し、それを見つければいいとは限りません。

  • これまでの経験
  • 出会った人
  • 仕事
  • 失敗
  • 喜び
  • 苦しみ
  • 選択

そうしたものを積み重ねながら、
「自分にとって、この人生にはどんな意味があるのか」
をつくっていく。
そんな考え方もできます。

40代・50代になってから、これまでの経験を違う角度から見直してみる。

すると、
「あの失敗にも意味があったのかもしれない」
「あの経験があったから、今の自分がある」
と思えることがあります。

人生の意味は、未来だけにあるのではありません。
過去の経験をどう捉え直すかによっても、意味は変わってくる。
そんな見方もできるのではないでしょうか。

40代・50代だからこそ「自分の物語」を見直してみる

私たちは、人生を一本のストーリーとして考えがちです。
「大学を出て、会社に入って、仕事を頑張って、昇進して……」
そんな一本道の物語です。

でも、人生は本当に一本道なのでしょうか。
今だからこそ、これまでの物語を別の角度から見直してみてもいいのではないでしょうか。

  • 「あのときは失敗した」と思っていた出来事が、今の自分を支えているかもしれない
  • 「あの仕事は意味がなかった」と思っていた経験が、誰かを助ける力になっているかもしれない
  • 「遠回りだった」と感じていた時間が、自分自身を知るために必要だったのかもしれない

過去は変えられなくても、過去に与える意味は変えられる。
そう考えると、これまでの経験も、これからの人生につながる材料になります。

40代・50代で考えたい「自分らしく生きるための5つの問い」

ここまで読んで、
「じゃあ、私はどう生きたいんだろう?」と思った方へ。
答えを急がず、次の問いを自分に投げかけてみてください。

1.誰にも評価されないとしたら、私は何を大切にしたい?

昇進も、収入も、SNSの「いいね」もない。
誰にも褒められなくても、守りたいものは何でしょうか。

そこに、自分の価値観が隠れているかもしれません。

▶ アクション:紙に書き出してみる
「誰にも評価されなくても守りたいもの」を、正直に書き出してみてください。
家族との時間、健康、自由、学び、社会貢献…
何が浮かんでくるでしょうか。

2.「こうするべき」を全部外したら、私はどうしたい?

「40代ならこうするべき」
「50代ならこうあるべき」
「キャリアウーマンならこうあるべき」
「母親ならこうあるべき」

そんな「べき」を一度外してみます。
そのとき、自分は何を選びたいでしょうか。


▶ アクション:「べきリスト」を書き出してみる

紙を一枚用意して、以下の2列で書き出してみてください。

左側:私が持っている「べき」右側:それを外したらどうしたい?
例:40代なら管理職になるべき例:専門職として深く掘り下げたい
例:50代なら安定すべき例:挑戦したいことがある
例:母親なら家族を優先すべき例:自分の時間も大切にしたい
例:キャリアウーマンなら働き続けるべき例:一度立ち止まってみたい

書き出してみると、「自分が本当に望んでいること」と、「周囲や社会から押し付けられたもの」が見えてくるはずです。

「べき」は、ときに自分を守る鎧にもなりますが、足枷にもなります。
一度外してみて、自分自身の声に耳を傾けてみてください。

3.これまでの人生で、一番「自分らしかった」のはいつ?

仕事で成果を出したときでしょうか。
誰かの役に立てたときでしょうか。
好きなことに夢中になっていたときでしょうか。
一人で自由に過ごしていたときでしょうか。

その経験から、自分が大切にしているものが見えてくるかもしれません。


▶ アクション:「自分らしかった瞬間」を3つ書き出してみる

以下の質問に答えてみてください。

  1. これまでの人生で、一番「自分らしかった」と感じた瞬間はいつ?

  • 何をしていたか
  • 誰といたか
  • どこにいたか
  • どう感じていたか
  1. その瞬間、どんな価値観が満たされていた?

  • 創造性
  • 自由
  • 貢献
  • 学び
  • つながり
  • 成長
  • その他
  1. その瞬間を、これからの人生でも再現できることはある?

書き出してみると、「自分が本当に大切にしているもの」が見えてくるはずです。

「自分らしさ」は、過去にすでに現れています。
それを、これからの人生でどう活かすか。
それが、次の一歩になります。

4.これから10年、何を増やしたい?

お金や肩書きだけではありません。

  • 自由な時間でしょうか
  • 人とのつながりでしょうか
  • 学びでしょうか
  • 旅でしょうか
  • 心の余裕でしょうか
  • 健康でしょうか
  • 経験でしょうか
  • 思い出でしょうか

「何を手に入れるか」だけでなく、
「どんなものがある人生にしたいのか」
を考えてみることも大切です。


▶ アクション:「10年後の理想リスト」を作ってみる

以下の質問に答えてみてください。

  1. 10年後、何をしていたい?

  • 仕事
  • 趣味
  • 人間関係
  • 住まい
  • 健康
  1. 10年後、どんな自分でいたい?

  • 性格
  • 価値観
  • 生き方
  1. 10年後、何を感じていたい?

  • 充実感
  • 自由
  • 安心
  • 喜び
  • 平和
  1. そのために、今から始められることは?

  • 小さな習慣
  • 学び
  • 出会い
  • 環境作り

書き出してみると、「これから10年で何を大切にしたいか」が見えてくるはずです。

「何を増やしたいか」は、これからの人生の羅針盤になります。

5.最後に、自分の人生を振り返ったとき、何を大切にしていたと言いたい?

少し先の未来を想像してみます。
人生の終わりに、自分は何を振り返りたいでしょうか。

「もっと会社で評価されればよかった」
でしょうか。

それとも、
「自分が大切だと思ったものを、大切にして生きてきた」
でしょうか。

答えは人によって違います。
だからこそ、自分自身に問いかける意味があります。


▶ アクション:「人生の終わりの言葉」を書いてみる

以下の構成で、自分の人生の終わりを想像して書いてみてください。


「私の人生は、〜を大切にした人生でした」

空欄に何が入るでしょうか。

  • 家族
  • 仕事
  • 自由
  • 学び
  • 貢献
  • 愛
  • 創造
  • 冒険
  • 平和
  • 成長

または、以下のように書いてみてもいいでしょう。

「私の人生は、こんな人生でした」

  • 誰を愛したか
  • 何に挑戦したか
  • 何を創ったか
  • 誰を助けたか
  • 何を感じたか

書き終わったら、一度声に出して読んでみてください。
その言葉が、今の自分の選択のヒントになるかもしれません。
「最後に何を大切にしていたと言いたいか」は、今の生き方の指針になります。

5つの問いをまとめる

これら5つの問いは、すぐに答えを出す必要はありません。
むしろ、
「問いを持ち続けること」そのものが、自分らしく生きる第一歩
なのだと思います。

  • 誰にも評価されないとしたら、何を大切にしたいか
  • 「べき」を全部外したら、どうしたいか
  • 一番「自分らしかった」のはいつか
  • これから10年、何を増やしたいか
  • 最後に、何を大切にしていたと言いたいか

これらの問いを、ときどき思い出してみてください。
あなたの「自分らしい生き方」は、もう始まっているのかもしれません。


▶ 次の一歩:5つの問いから、一つ選んで考えてみる

記事の中で紹介した「5つの問い」から、一番気になるものを一つ選んで、紙に書き出してみてください。

それだけで、自分らしい人生への第一歩になります。

「自分らしさ」は、探すものではなく育てていくもの

「自分らしさが分からない」という人もいると思います。
でも、最初から「これが私らしさ」と言える人ばかりではありません。

仕事をして、人と出会い、失敗して、悩んで、挑戦する。
その経験の中で、

  • 「これは大切にしたい」
  • 「これはもう必要ない」

というものが、少しずつ見えてきます。
だから、自分らしさは完成品としてどこかに存在するものではないのかもしれません。
日々の選択によって、少しずつ育てていくもの。
そう考えれば、「自分らしく生きなければ」と焦る必要もありません。

今日一つ、自分が本当に大切だと思うことを選ぶ。
その積み重ねが、やがて自分らしい人生につながっていくのではないでしょうか。

40代・50代の人生は「答え合わせ」の時間ではない

40代、50代になると、
「これまでの人生は正しかったのだろうか」と考えることがあります。
でも、人生に「正解・不正解」があるとは限りません。

若い頃には、そのときなりの理由があって選んだ。
その結果、今の自分がいる。

そして今の自分には、当時とは違う視点があります。
だから、これまでの人生を採点するより、
「ここから、どう生きたいか」
を考えるほうが大切なのかもしれません。
過去を否定する必要はありません。
これまでの経験を連れて、これからの人生を選んでいけばいい。

まとめ|「自分らしく生きる」とは、自分の人生を自分で選ぶこと

『神話の力』は、神話について書かれた本です。
けれど、読み進めるほど、私たち自身の人生について考えさせられます。

40代、50代になると、これまで築いてきたものが増えていきます。

  • 仕事の経験
  • 人とのつながり
  • 知識
  • 失敗
  • 成功
  • そして、自分なりの価値観

だからこそ、これからの人生を考えるとき、
「今までこうしてきたから」だけではなく、
「これから私はどうしたいのか」を考えてみてもいい。

「自分らしく生きる」という言葉は、とても便利です。
でも、その中身は人によって違います。

だから、
「私は何を大切にしたいのか」
「私は何を選びたいのか」
を、自分自身に問い続けることが大切なのだと思います。

周囲から見た成功ではなく、自分にとっての幸せ。
誰かが決めた正解ではなく、自分が納得できる生き方。
これまでの経験を否定するのではなく、それらを自分の人生の一部として受け入れること。

それが、これからの「自分らしく生きる」につながっていくのではないでしょうか。

『千の顔を持つ英雄』が、
「私は、ここからどこへ向かうのか?」
という問いを与えてくれたとしたら、

『神話の力』は、
「私は、何を大切にして生きるのか?」
という問いを与えてくれる本です。

人生に、誰にでも当てはまる一つの正解はありません。
だからこそ、自分で考える。自分で選ぶ。そして、選んだ道を自分の人生にしていく。
40代でも、50代でも、それは遅くありません。

もし今、
「この先、私はどう生きたいんだろう?」
と考えているなら、まずは一つ、自分に問いかけてみてください。
「私は、本当は何を大切にして生きたい?」

答えは、すぐには見つからないかもしれません。
でも、その問いを持って生きることが、これからの人生を少しずつ変えていくのではないでしょうか。

人生の後半戦は、答え合わせではありません。
自分の人生を、もう一度、自分で選び直す時間。

『神話の力』は、そんなことを考えるきっかけを与えてくれる一冊です。

▶ 次の一歩:5つの問いから、一つ選んで考えてみる
記事の中で紹介した「5つの問い」から、一番気になるものを一つ選んで、紙に書き出してみてください。
それだけで、次の旅への第一歩になります。

次回は、『素晴らしき新世界』を「私は、本当に自分の意思で生きているのか?」という切り口で紹介します。

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参考文献

ジョーゼフ・キャンベル 著
神話の力 (ハヤカワ文庫NF)
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では、またね~