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八方美人が嫌われる理由|イソップ童話「卑怯なコウモリ」に学ぶ、40代からの信頼回復術

シルスプのブログにようこそ

「あの人、いつも良い顔をしているけれど、結局何を考えているのか分からない」

職場でふと、こんな違和感を覚えたことはありませんか?
会議では誰の意見にも賛同し、上司の前では従順で、部下の前では理解者を装う。
一見、人間関係を円滑にしているように見えるその姿勢。
しかし、それが実は「深刻な時限爆弾」を抱えていることに、
多くの人は気づいていません。

イソップ童話の「卑怯なコウモリ」という物語をご存知でしょうか。
これは、まさに「どっちつかず」な生き方の末路を描いた物語です。

鳥と獣が戦争を始めたとき、コウモリは戦況を見ながら有利な方に味方しました。

  • 鳥が優勢なときは「私には翼があります」と鳥の仲間だと主張し、

  • 獣が優勢になると「私には歯があります」と獣の側につく。

その場しのぎの立ち回りで危機を乗り越えたコウモリでしたが、
やがて戦争が終わるとどうなったか。
両方から「卑怯者」として拒絶され、昼間も夜も堂々と外を飛べなくなって
しまったのです。

この童話の教訓は、紀元前ではなく、現代のビジネス社会においてこそ強い
説得力を持ちます。
特に、キャリアの折り返し地点にいる40~50代にとって、
「軸のない生き方」の代償は、若い頃よりもはるかに大きいのです。

心理と特徴

もちろん、「どっちつかず」な人が、悪意を持って行動しているわけでは
ありません。
むしろ、「誰とも衝突したくない」「場の空気を壊したくない」という、
組織人としての配慮から生まれる行動であることが多いのです。

こうした八方美人の心理には、共通した特徴があります。

  1. 対立への極度な恐怖
    意見の相違を「関係の破綻」と捉え、自分の考えを言うリスクを過大評価
    してしまう。

  2. 短期的安心の優先
    その場の波風を立てないことで、一時的な心理的安全を得ようとする。

実際、この戦略は短期的には「正解」に見えます。
上司からは「扱いやすい部下」、同僚からは「穏やかな人」と評価され、
ストレスも少ない。40~50代ともなれば、この処世術で生き延びてきた方も
多いでしょう。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。
周囲はあなたが思っている以上に敏感です。
「この人は結局、何も決めない」「都合の良いときだけ味方のふりをする」──。

こうした印象は、
「信頼」という目に見えない資産を、毎日少しずつ食いつぶしています。
信頼は銀行口座のようなものです。
どっちつかずな態度は、毎日口座から引き出しを続けているようなもの。
ある日突然、残高がゼロになったときには、
もう信用を取り戻すことは極めて困難になっているのです。

ビジネスの具体例

ビジネスの現場にいる「現代のコウモリ」。
40~50代の中堅・管理職層において、よくある3つのケースを見てみましょう。
心当たりはありませんか?

ケース1:会議で意見を言わない管理職
部長職のAさん(52歳)。
重要な会議でも「皆さんの意見を聞いてから判断したい」と繰り返すばかり。
賛成とも反対とも取れる曖昧な相槌でその場をやり過ごします。

【結果】 重要な決定の場面で存在感はゼロ。社長からは「決断力がない」、
部下からは「守ってくれない上司」とみなされ、組織内で孤立しました。

ケース2:板挟みで中立を装う中間管理職
課長のBさん(48歳)。
上司の無理な指示を部下に伝える際、
「私も疑問なんだけど、上が言うから仕方ない」と責任転嫁。
一方で上司には「部下が納得していない」と報告するだけ。

【結果】 「どちらの味方なのか?」と不信感を買い、
上司からは「統率力不足」、部下からは「責任逃れ」の烙印を押され、
昇進ルートから外れました。

ケース3:曖昧な対応をする営業担当
営業部長のCさん(55歳)。
取引先の無理な要望に「検討します」と持ち帰り、
社内には「先方がどうしてもと言う」と報告。
実際は強く要求されていないのに、曖昧なまま時間を稼ぎます。

【結果】 取引先からは「交渉力がない」、社内からは「利益意識が低い」と
双方から信頼を失い、重要案件を外されました。

共通するのは「明確な立場を取らない」「責任を引き受けない」点です。
本人は「賢く立ち回っている」つもりでも、
周囲から見ればそれは単なる「逃げ」でしかありません。

信頼喪失のメカニズム

なぜ「どっちつかず」は、最終的に必ず信頼を失うのでしょうか。
その答えはシンプルです。信頼の本質とは「予測可能性」だからです。

人が誰かを信頼するとき、「この人がどう行動するか予測できる」という
安心感が必要です。
たとえ意見が違っても、「あの人の判断基準はブレない」と分かっていれば、
信頼関係は築けます。
しかし、コウモリタイプは状況次第で態度を変えるため、周囲は常に疑心暗鬼に
なります。
「予測不可能な人」に、重要な仕事やポストを任せる経営者はいません。

40~50代で直面する「取り返しのつかない損失」
20代なら「まだ若いから」で済みますが、40〜50代での信頼喪失は致命的です。

  • 管理職としての求心力低下

  • 重要なプロジェクトからの除外

  • 早期退職の対象化

さらに深刻なのは、自己評価の低下です。
長年、自分の意見を殺して生きてきた結果、「自分には何もない」という
空虚感に襲われる人が少なくありません。
定年後、肩書きを失ったときに残るのが「空っぽの自分」では、
あまりにも虚しい人生です。

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実践的アプローチ

では、染み付いてしまったコウモリ体質を変え、
失った信頼を取り戻すことはできるのでしょうか?
答えはイエスです。今日からできる「軸」を作るステップを紹介します。

STEP 1:自分の価値観を「言語化」する

まずは、自分が仕事で譲れないものを明確にしましょう。
「誠実さ」「チームワーク」「効率」「革新」…何でも構いません。

  • 過去に最も腹が立ったことは?

  • 過去に最も充実感を感じた仕事は? この2つを振り返るだけで、
    あなたの価値観が見えてきます。

STEP 2:小さな場面から「私は」で話す

いきなり会議で反対するのはハードルが高いです。まずは日常会話から。
「一般的にはこう言われていますが、私はこう思います」
主語を「会社」や「上司」ではなく、「私」にして話す練習をしましょう。
理由を添えれば、意見の相違は恐れるものではありません。

STEP 3:「一貫性」を意識しつつ「柔軟」に

一度決めたら意固地になる必要はありません。
「新しい情報を知って考えが変わった」と説明できれば、それは「ブレ」ではなく
「柔軟性」として評価されます。
大切なのは、「その場しのぎで変えない」ことです。

STEP 4:対立を「対話」に変える

意見を言えば、反対意見も出ます。それは「攻撃」ではありません。
「なるほど、そういう視点もありますね。私の懸念点はここなのですが、
どう思いますか?」
40〜50代の経験値があれば、対立を建設的な議論に変える大人の対話力が発揮できるはずです。

*自己分析の方法

まとめ

イソップ童話のコウモリは、暗闇に隠れて生きることを余儀なくされました。
しかし、私たちは人間です。気づいた瞬間から、行動を変えることができます。

「嫌われないこと」よりも「信頼されること」を選んでください。
「波風を立てないこと」よりも「自分の足で立つこと」を選んでください。

40代、50代は、組織のしがらみも多い世代ですが、
同時に「あの人はブレない」という評価が、最強の武器になる世代でもあります。

今日から、小さな一つひとつの決断に「自分」を取り戻していきましょう。
コウモリのように隠れるのではなく、堂々と太陽の下を歩くために。

【おすすめの一冊】

この記事で紹介したイソップ寓話集は、
子供向けではなく、大人こそ読むべき人生の教科書です。

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自分軸(コア・バリュー)を明確にするための10の質問リスト

このリストは、あなたが無意識に大切にしている「価値観」や、
譲れない「信念」を言語化するためのものです。
正解はありません。直感で思い浮かんだことを書き出してみましょう。

Q1. 【過去の栄光】

これまでの仕事人生の中で、「自分は良い仕事をした」「この瞬間が一番充実していた」と感じたエピソードは具体的にどのような場面でしたか?

(分析のヒント:その時、何が満たされていたから充実していたのでしょうか?「達成感?」「誰かへの貢献?」「チームワーク?」「創造性?」)

Q2. 【他者への怒り】

職場やニュースを見ていて、「この人の振る舞いは絶対に許せない」
強い怒りや不快感を覚えるのは、どのような行動ですか?

(分析のヒント:怒りは価値観の裏返しです。「嘘をつく人」が許せないなら「誠実さ」を、「責任転嫁」が許せないなら「責任感」を大切にしています。)

Q3. 【憧れの投影】

あなたが心から尊敬する人物(歴史上の人物、上司、友人、有名人など)を
一人挙げてください。その人の「どのような部分」を尊敬していますか?

(分析のヒント:他人に憧れる要素は、あなた自身が持っている、あるいはこれから持ちたいと願っている資質です。)

Q4. 【譲れない一線】

たとえ会社の方針や上司の命令であっても、
「これだけは自分の魂を売ることになるから絶対にやりたくない」と思うことは何ですか?

Q5. 【最高の称賛】

周囲の人から言われて、一番嬉しかった「褒め言葉」や「感謝の言葉」
何ですか?

(分析のヒント:「仕事が早いね」なのか、「君がいてくれて助かった」なのか、「鋭い視点だね」なのか。そこにあなたの貢献の源泉があります。)

Q6. 【助言と後悔】

もしタイムマシンに乗って、入社3年目の頃の自分に一つだけアドバイスできる
としたら、何と言葉をかけますか?

Q7. 【不要な荷物】

今の生活や仕事の中で、本当はやりたくないのに
「世間体」や「恐怖心」のためだけに続けていることはありますか?

(分析のヒント:それを捨てることで、逆に何が得られるでしょうか?)

Q8. 【究極の選択】

もし明日、あなたの資産が十分になり、
生活のために働く必要がなくなったとしたら
それでも続けたい活動や、新たに取り組みたいことは何ですか?

Q9. 【レガシー(遺産)】

あなたが引退する時、部下や後輩たちから
「〇〇さんは、最後まで△△な人だった」と語られたいですか?

(分析のヒント:ここに入る言葉こそ、あなたが周囲に見せたい「あり方(スタンス)」です。)

Q10. 【3つのキーワード】

ここまでの答えを振り返り、あなたの人生において最も優先順位の高い価値観を
「漢字一文字」または「単語」で3つ選ぶとしたら、何になりますか?

(例:誠実、自由、挑戦、調和、論理、情熱、貢献、家族、美学、信頼…)

■ 結果の活用方法

Q10で導き出した「3つのキーワード」が、
あなたの現在のコア・バリュー(自分軸)です。

今後、仕事で板挟みになったり、決断に迷ったりした時は、
このキーワードを思い出してください。
「その選択は、私の『〇〇』という価値観に反していないか?」
自問することで、コウモリのような「どっちつかず」な態度から脱し、
一貫性のあるリーダーとしての判断ができるようになるはずです。

では、またね~