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Daily UI #075:250万円の時計を予約させるUI|ラグジュアリーブランドの先行予約デザイン

【UIアウトプット】DailyUI #075_Pre-Order

シルスプのブログにようこそ。

UIデザイナーとして100本のノックに挑むDaily UI。
今回のテーマは #075 Pre-Order(先行予約) です。

250万円の腕時計を、まだ手元にない状態で予約する──。

そんな高額な意思決定を後押しするUIには、どんな工夫が必要でしょうか。
架空の高級時計ブランド「VANDENBERG & CO.」の先行予約画面を制作しました。

先行予約画面のデザインにおいて最も重要なのは、
単なる「予約ボタン」を置くことではありません。

それは、まだ手元に届かない商品に対して
「今すぐ手に入れなければならない」という強い動機付けと、
高額決済に対する「圧倒的な信頼感」を醸成することです。

この記事では、ラグジュアリーブランドの世界観を損なわない情報設計と、
コンバージョン(予約)へ導くUX戦略を徹底解説します。

1. コンセプト設計:感情的な価値を最大化する

1-1. ターゲットと市場背景

  • ターゲット: 希少価値を重んじる時計コレクター、高所得層のビジネスパーソン。

  • 商材特性: 単なる計時機能ではなく、歴史、工芸、ステータスといった「感情的な価値」が主役となる商材。

1-2. 「予約」を「特権」に変える演出

先行予約は、一般販売に先駆けて手に入れることができる
「選ばれた人のためのステップ」です。

そのため、UI全体から「希少性(Scarcity)」と「緊急性(Urgency)」が漂うように設計しました。

2. ビジュアルデザインの解剖:高級感を演出する「引き算」の美学

下の画面をご覧ください。各要素に込めた設計意図を深掘りしていきます。

【UIアウトプット】DailyUI #075_Pre-Order

2-1. カラーパレット:信頼のネイビーと栄光のブロンズ

  • ディープネイビーの背景:
    画面全体に深いネイビーを採用し、知的で落ち着いた「夜の海」のような
    静寂さを表現しています。
    これはブランド名「MERIDIAN(子午線)」の世界観ともリンクし、
    製品の信頼性を視覚的に支えています。

  • ブロンズ・ゴールドのアクセント:
    CTAボタン(行動喚起ボタン)や文字のアクセントには、落ち着いたゴールドグラデーションを使用。
    ネイビーとの高いコントラストで視認性を保ちつつ、
    金属的な質感を連想させ、高級プロダクトとしての格を高めています。

2-2. タイポグラフィ:ヘリテージを物語るセリフ体

  • ブランドロゴとタイトル: 「VANDENBERG & CO.」や「PRE-ORDER」といった主要なテキストには、歴史と格式を感じさせるセリフ体(明朝体系)を採用。

  • モダンなサンセリフとの共存: 数字や注釈など、正確な情報の読み取りが必要な箇所には読みやすいサンセリフ体を使い分けることで、クラシックな雰囲気と現代的な操作性を両立させています。

2-3. 写真(ヒーロービジュアル)の役割

  • ドラマチックなライティング:
    中央に配置された『THE BLUE MERIDIAN』の写真は、
    暖色のスポットライトが時計の輪郭を際立たせるドラマチックな演出を施しています。

 

  • 店舗体験の再現
    台座の一部を見せることで、高級ブティックのショーケースを覗き込んでいるような臨場感をスマホ画面上に再現。
    オンラインでありながら、店舗での特別な体験を演出しました。

3. 250万円の決断を後押しする情報設計

高額商品の予約において、ユーザーが最も懸念するのは「不透明さ」です。
これを解消するために、情報を階層化して提示しています。

3-1. 希少性の提示

「世界限定 100本」 というテキストを、価格のすぐ下に配置しました。

  • UX的意図: ユーザーが価格を見た直後に「なぜ高いのか」「今なぜ予約が必要なのか」という問いに対する答えを提示し、検討の離脱を防ぎます。

3-2. スケジュールの可視化

「2024年秋頃お届け予定」 と明記することで、予約から手元に届くまでのタイムラグに対する期待感を醸成し、不安を解消しています。

3-3. CTA(予約ボタン)のデザイン

ボタンのコピーは「このモデルを予約する」としました。

  • ライティングの工夫
    単なる「予約する」ではなく、「このモデルを」と入れることで、
    ユーザーの選択を肯定し、特定の商品への愛着を醸成する心理的アプローチです。

4. 検索エンジンとAIに評価される構造設計

検索エンジンやAIアシスタントが、このページを「質の高い予約画面」と認識するための工夫です。

  • 情報の構造化:
    商品名、価格(250万円)、限定数、納期がそれぞれ独立した
    テキストとして配置されているため、Googleショッピングなどの
    検索結果にリッチリザルト(検索結果での強調表示)として表示されやすくなっています。

 

  • 検索意図への最適化:
    「高級時計 先行予約 2024」といった検索に対し、
    必要な情報(いつ、いくらで、何本限定か)が
    ファーストビュー(スクロールせずに見える範囲)で完結。
    ユーザー満足度の向上に寄与します。

5. ユーザビリティとアクセシビリティ

  • セカンダリ導線の確保:
    ボタンの下に「仕様を見る」というリンクを配置しました。
    即決できない慎重派のユーザーに対し、
    スペック詳細(ムーブメント、素材、防水性能など)へ誘導する
    逃げ道を用意し、離脱を防ぎます。

  • タッチターゲットの最適化:
    予約ボタンは、指の太さを問わず押しやすいよう、
    画面横幅いっぱいに近いサイズで設計しています。

  • コントラスト比
    テキストと背景のコントラストがWCAG基準を満たしている

 

  • フォントサイズ
    高額商品だけに、小さすぎるテキストは不安を与えるため、適切なサイズを確保

6. まとめ:予約画面は「夢」への招待状

Daily UI #075「Pre-Order」の制作を通じて、
高単価商材におけるUIの役割は「機能の提示」以上に
「世界観の提供」にあることを再確認しました。

今回のデザインで重視した3つのポイントは以下の通りです。

  1. ラグジュアリーなトーン&マナー:
    ネイビーとゴールドによる、品格のある色彩設計。

  2. 情報の優先順位:
    「価格 → 希少性 → 納期」の順で並べることで、ユーザーの納得感を高める。

  3. 情緒的なマイクロコピー:
    ユーザーの選択を祝福するような言葉選び。

先行予約画面は、ブランドとユーザーの長い付き合いが始まる最初の接点です。そこで交わされる「予約」という約束を、いかに美しく、確かなものにするか。その答えの一つの形を、今回のデザインに込めました。

では、またね~