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「エンディングノート」と聞くと、高齢の方が晩年に書くもの、あるいは家族に向けたメッセージを残すためのものというイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、配偶者やお子さんがいない単身の方こそ、自分の情報や希望を事前に整理しておく意義は大きくなります。

しかし実際には、お一人様こそ、エンディングノートを作成しておく意義が大きいといえます。
万が一の際、自分の意思や情報を伝えられる家族が身近にいない分、
自分自身の情報や希望を、あらかじめ形にしておくことの重要性が高まるからです。

本記事では、なぜお一人様にエンディングノートが必要なのか、そして何をどう書けばよいのかを、40代・50代のビジネスパーソンに向けて具体的に解説します。

なぜ「お一人様」こそエンディングノートが必要なのか

家族と同居している場合、日々の会話の中で、自然と自分の希望や大切な情報が周囲に伝わっていることも少なくありません。

単身の方の場合、日々の会話の中で自分の希望や大切な情報が周囲に自然と伝わっていることは少なく、自分自身だけが情報を知っている状態になりがちです。

万が一、急な病気や事故によって判断能力を失ったり、亡くなったりした場合、
周囲は「どこに何があるのか」「本人はどうしてほしいと考えていたのか」を知る手がかりがないまま、対応に追われることになります。
銀行口座や保険の情報が分からず手続きが滞る、延命治療についての希望が分からず関係者が判断に迷う、
といった事態は、お一人様にとって決して他人事ではありません。

エンディングノートは、こうした「自分にしか分からない情報」を、
あらかじめ整理し、記録しておくためのツールです。
法的な効力はありませんが、万が一のときに、周囲の人が困らないようにするための、
いわば「自分から周囲へのメッセージ」としての役割を果たします。

また、エンディングノートを書くという作業は、単に情報を整理するだけでなく、自分自身のこれまでの人生を振り返り、これからをどう生きたいかを考える機会にもなります。
「もしものときのため」という消極的な目的だけでなく、「今をより良く生きるため」の前向きな作業としても捉えることができるのです。

エンディングノートと遺言書の違い|法的効力はないが果たす役割

エンディングノートを検討する際、よく混同されやすいのが「遺言書」との違いです。
この2つは目的も性質も異なるものであり、それぞれの役割を理解しておくことが大切です。

遺言書は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言などの方式があり、それぞれ要件が異なります。
方式を満たさない場合、法的に無効となる可能性があるため、作成時には専門家への相談を検討しましょう。
財産を誰に、どのように残すかを確実に実現したい場合は、遺言書の作成が不可欠です。

一方、エンディングノートには、遺言書のような法的効力はありません。
書式も自由で、市販のノートやテンプレートを使ってもよいですし、パソコンやスマートフォンで作成しても構いません。
財産の分配のような法的判断が必要な事項というよりも、「自分の情報を整理し、周囲に伝えるためのメモ」としての役割が中心になります。

つまり、財産をどう分けるかという法的な意思表示をしたい場合は遺言書、
それ以外の医療・介護の希望や、各種手続きに必要な情報、身の回りの整理などを伝えたい場合はエンディングノート、
というように、両者は補完し合う関係にあります。
お一人様の場合、可能であれば両方を用意しておくことで、より安心できる備えとなるでしょう。

エンディングノートに書いておくべき5つの項目

エンディングノートに決まった書式はありませんが、一般的に記載しておくとよいとされる項目を紹介します。

①基本情報・資産に関する情報

氏名、生年月日、本籍地などの基本情報に加え、預貯金口座、保険、有価証券、不動産といった資産の一覧を記載しておきます。
どの金融機関に口座があるか、どんな保険に加入しているかが分かるだけでも、万が一の際の手続きが大きく円滑になります。

②医療・介護に関する希望

延命治療を望むかどうか、どのような介護を受けたいかといった、医療・介護に関する自分の希望を記しておきます。
判断能力を失った場合、こうした希望を自分の言葉で伝えることができなくなるため、あらかじめ書き記しておくことには大きな意味があります。

③葬儀・お墓に関する希望

どのような形式の葬儀を希望するか、お墓や納骨についての考えなどを記載します。
特に決まりがない場合は「お任せします」と書くだけでも、周囲にとっては大きな判断材料になります。

④連絡してほしい人のリスト

万が一の際に連絡してほしい友人、知人、仕事関係者などの連絡先をまとめておきます。
家族が近くにいない場合、誰に、どのタイミングで知らせてほしいかを整理しておくことは、特に重要な項目です。

⑤デジタル情報の整理

スマートフォンやパソコンのロック解除方法、SNS アカウント、サブスクリプションサービスの契約状況など、
デジタル関連の情報も忘れずに記載しておきましょう。
近年、こうした「デジタル遺品」の整理に困るケースが増えており、注目度が高まっている項目です。

なお、パスワードそのものをノートに直書きする場合は、保管場所のセキュリティに十分注意してください。
パスワード管理ツールを活用し、マスターパスワードの共有方法を検討する方法もあります。

お一人様が特に書いておきたい項目|身元保証・死後事務・ペットのこと

一般的なエンディングノートの項目に加え、お一人様だからこそ、特に意識して書いておきたい項目もあります。

身元保証・緊急連絡先に関する情報

入院や施設への入所の際、身元保証人を求められる場面は少なくありません。
頼れる家族が近くにいない場合、誰にこの役割を依頼できるのか、あるいは身元保証を代行するサービスを利用する予定があるのかなど、事前に整理し、記載しておくことが重要です。

具体的な候補としては、信頼できる友人、兄弟姉妹、親族、あるいは身元保証代行サービスなどが考えられます。
候補が複数いる場合は、優先順位も併せて記載しておくと、周囲が判断しやすくなります。

死後事務に関する希望

葬儀の手配、家財の整理、各種契約の解約など、亡くなった後に発生する事務手続きを、誰にどのように進めてほしいかを記載します。
信頼できる友人や、専門家(弁護士や司法書士など)と死後事務委任契約を結んでいる場合は、その旨と契約先の情報も明記しておきましょう。

ペットに関する希望

ペットを飼っている場合、自分に万が一のことがあった際に、誰に世話を託したいかは、非常に重要な項目です。
引き取り先の候補や、飼育にかかる費用の準備状況なども合わせて記載しておくことで、
大切な家族であるペットの将来を守ることにつながります。

財産の帰属先に関する希望(参考情報として)

財産を誰に引き継ぐかといった法的な効力を持たせたい場合は、遺言書の作成が必要です。
エンディングノートには「なぜこの財産を築いてきたか」「お世話になった人への感謝」などの思いを書き添え、
遺言書の内容を補足する参考情報として残す程度に留めましょう。

書き始めるコツと、無理なく続けるための工夫

エンディングノートの作成は、一度にすべてを完璧に書き上げようとすると、かえって手が止まってしまいがちです。
無理なく取り組むためのコツを紹介します。

まずは書きやすい項目から始める

基本情報や資産の一覧など、事実を書くだけの項目から始めると、取り組みやすくなります。
医療や葬儀に関する希望など、考えるのに時間がかかる項目は、後回しにしても構いません。

完璧を目指さず、書けるところから埋めていく

すべての項目を一度に埋める必要はありません。
「今日はここまで」と決めて、少しずつ書き進めていく方が、精神的な負担も少なく続けやすくなります。

定期的に見直す機会を作る

資産状況や希望する内容は、時間の経過とともに変化することがあります。年に一度、誕生日や年末など、決まったタイミングで内容を見直す習慣をつけておくと、常に最新の情報を保つことができます。

保管場所を周囲に伝えておく

どれだけ丁寧に書いても、万が一の際に見つけてもらえなければ意味がありません。
信頼できる友人や、弁護士などの専門家に、エンディングノートの存在と保管場所を伝えておくことも忘れずに行いましょう。

具体例

  • 信頼できる友人 1〜2 名に存在と保管場所を伝える
  • 死後事務委任契約を結んでいる専門家(弁護士・司法書士)にコピーを預ける
  • 自宅の保管場所は「鍵のかかる引き出し」など特定し、鍵のありかも併せて共有する
  • デジタル版の場合は、パスワード管理ツールのマスターパスワードの共有方法を検討する

まとめ|お一人様のエンディングノートは「自分情報」の整理

お一人様にとって、エンディングノートは単なる「もしものときの備え」ではなく、
自分の情報や希望を整理し、周囲に伝えるための大切なツールです。

  • 家族が近くにいないからこそ、自分にしか分からない情報を書き残しておく意義が大きい
  • エンディングノートには法的効力はないが、遺言書と補完し合いながら、自分の意思を周囲に伝える役割を果たす
  • 基本情報・医療の希望・葬儀の希望・連絡先リスト・デジタル情報の 5 項目は、まず押さえておきたい基本
  • 身元保証、死後事務、ペットのことなど、お一人様ならではの項目にも特に意識を向けたい
  • 完璧を目指さず、書けるところから少しずつ書き進め、定期的に見直すことが継続のコツ
  • 保管場所は信頼できる友人や専門家に伝え、デジタル情報の記載はセキュリティに注意する

エンディングノートを書くという行為は、万が一への備えであると同時に、これからの人生をどう生きたいかを見つめ直す機会にもなります。まずは 1 ページ、書きやすいところから始めてみませんか。


※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的判断を保証するものではありません。財産の分配など法的な効力を持たせたい内容については、弁護士など専門家にご相談の上、遺言書の作成もあわせて検討してください。

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