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相続対策

親の「隠れ借金」を見逃さない|40代・50代のための財産調査マニュアル

「まさかこんなに借金が…」を防ぐ。親の"隠し借金"を見逃さない、40代・50代のための財産調査マニュアル

先日、親と話していて、初めて「借金をしていた」と知りました。
たまたまお金の話になったから分かっただけで、
もしそのまま気づかずに親が亡くなっていたら、
その「隠れ借金」をそのまま背負うことになっていたところでした。

なぜ今、親の借金調査が必要なのか

相続は「もらうもの」ではなく「引き継ぐもの」

「親が亡くなったら、遺産を受け取れる」——そう思っている40代・50代は少なくありません。
しかし、相続とはプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もすべて引き継ぐ法律行為です。

預貯金や不動産を受け取る一方で、知らないうちに数百万円の借金まで相続していた、というケースが現実に起きています。
しかも、相続放棄には「相続の開始を知った日から原則3ヶ月」という期限があります。
何も知らないまま時間が過ぎると、相続放棄や限定承認といった選択肢を取れなくなるリスクがあります。

「知らなかった」では済まなかった、実際の事例

Aさん(52歳・会社員)は、父親が亡くなって初めて、消費者金融3社への借入総額が450万円あることを知りました。
父は几帳面な性格で、まさかと思っていたそうです。
気づいたのは、相続手続きを進める中で郵便物を整理したとき。しかし、その時点ですでに相続放棄の3ヶ月を過ぎていました。

Bさん(47歳・自営業)のケースはさらに深刻です。
父が知人の連帯保証人になっており、その知人が破産。Bさんは相続によって1,200万円の保証債務を負うことになりました。
「父がそんな保証をしていたなんて、まったく聞いていなかった」と話します。

※プライバシー保護のため、一部設定を変えた事例です。

なぜ40代・50代が「今」動かなければならないのか

親が70代・80代になると、認知機能の低下や体力の衰えにより、財産状況の把握がどんどん難しくなります
本人が覚えていない借金、紛失した通帳、古い連帯保証契約—
—時間が経てば経つほど、調査の難易度は上がります。

また、相続が発生してから調べようとすると、感情的な混乱と時間的プレッシャーの中での判断を迫られます。
「生前に・冷静に・計画的に」調べることが、家族全員を守る最善策です。

親がまだ元気に動ける今こそ、財産調査に着手するタイミングです。
この記事では、専門家も実践する具体的な調査手順を、ステップごとに解説していきます。

親の借金はどこに隠れているのか?

借金は「見えないところ」にある

親世代の借金が発覚しにくい最大の理由は、本人が家族に話していないからです。
恥ずかしさ、心配をかけたくない気持ち、あるいは自分でなんとかしようとした結果、
借金は「見えない場所」に積み重なっていきます。
典型的な隠れ借金のパターンを把握しておきましょう。

① 消費者金融・カードローン
銀行系カードローンや消費者金融は審査が簡単で、家族に通知が来ないため発覚が遅れます。
高齢でも契約できるケースがあり、年金を返済に充てていて生活が苦しくなっていることも。
郵便物に「アコム」「プロミス」「SMBCモビット」などの封筒がないか要確認です。

② クレジットカードのリボ払い・キャッシング
クレジットカードの明細は本人しか見ない場合がほとんど。
リボ払いは残高が見えにくく、気づかないうちに数十万円単位の残高になっていることがあります。
財布の中や引き出しのカード枚数を自然な流れで確認しておくことが有効です。

③ 連帯保証人問題
これが最も危険なパターンです。
親が友人・知人・兄弟の借金の連帯保証人になっている場合、
主債務者が返済不能になった時点で親(=相続人)に請求が来ます。
契約書が手元になければ発覚が遅れ、相続後に突然請求されるケースも珍しくありません。

④ 兄弟・親族間の非公式な貸し借り
法的な書面のない口約束の借金も、民法上は有効な債務です。
「姉に昔お金を貸した」「叔父から借りていた」という話が相続後に噴き出すことがあります。
家族関係が複雑な場合は特に注意が必要です。

⑤ 事業債務・税金滞納
自営業・農業・不動産賃貸を営む親の場合、
事業上の借入や税金・社会保険料の滞納が相続財産に含まれることがあります。
会社経営者なら代表取締役としての個人保証も要確認です。

プロ直伝・財産調査の具体的な手順

使える公的機関と調査の順番

財産調査は「借金調査」と「資産調査」の両面から進めます。
どちらかだけでは不完全です。以下の手順で体系的に進めましょう。

STEP①|信用情報機関への開示請求(借金調査の核心)

日本には3つの信用情報機関があり、本人または法定代理人が開示請求できます
親が存命中であれば、本人の同意を得て(または委任状を用意して)手続きを進めます。

  • CIC(割賦販売法・貸金業法系):クレジットカード・割賦の情報 → https://www.cic.co.jp/
  • JICC(日本信用情報機構):消費者金融・カードローンの情報 → https://www.jicc.co.jp/
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター):銀行ローンの情報 → https://www.zenginkyo.or.jp/

開示請求は各機関1,000円前後で可能。スマートフォンアプリ対応も進んでいます。
3機関すべてに請求することで、ほぼすべての金融機関の借入状況を把握できる可能性が高いです。

STEP②|不動産登記簿・抵当権の確認

不動産を所有している場合、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得します。
「権利部(乙区)」に抵当権の設定があれば、不動産を担保にした借入が存在します。
オンライン申請(登記ねっと)でも取得可能で、1通600円程度です。

STEP③|預貯金・証券口座の把握

通帳・キャッシュカード・証券会社の書類を確認します。
把握できていない口座がある場合は、親に「銀行の整理をしよう」と自然な流れで提案するのが現実的です。
ゆうちょ銀行は残高証明書を本人申請で取得できるため、郵便局での手続きを打診してみましょう。

STEP④|税務署・市区町村での確認

固定資産税の納税通知書は不動産の所在確認に役立ちます。
市区町村の税務課では固定資産評価証明書・名寄帳を取得でき、
親名義のすべての不動産を一覧で確認できます(本人または委任状が必要)。
税金の滞納がある場合も、この段階で把握できます。

家族間でできる「生前の財産把握」実践テクニック

親との財産整理トーク、切り出し方が9割

財産の話は「縁起が悪い」と避けられがちですが、切り出し方を工夫すれば自然に進められます。
直接「借金はある?」と聞くのは逆効果
以下のようなアプローチが有効です。

  • 「最近、友人の親御さんが相続でもめてて大変だったみたい。うちも早めに整理しておきたいな」
  • 「エンディングノートを書いてみようと思うんだけど、一緒にやらない?」
  • 「終活セミナーに行ってきたんだけど、財産目録を作っておくといいって言ってたよ」

自分事ではなく「外からの情報」として伝えることで、親が防衛的にならずに話に乗りやすくなります。

エンディングノート・財産目録の活用

市販のエンディングノートには、預貯金・不動産・保険・借金欄が設けられています。
「一緒に書こう」と誘うことで、親自身に財産を棚卸しさせる流れが作れます。
書く作業を通じて、本人も忘れていた保険や口座が発掘されるケースも少なくありません。

専門家への相談タイミング

以下のような状況になったら、専門家への相談を迷わず検討してください。

  • 親が認知症の診断を受けた、または疑われる
  • 不動産・事業・複数の金融資産がある
  • 兄弟姉妹間で財産についての意見の相違がある
  • 連帯保証の可能性が浮上した

司法書士は不動産・相続登記、弁護士は紛争・保証債務問題、FP(ファイナンシャルプランナー)は生前の資産整理・老後設計の相談先として適しています。
初回相談は無料の事務所も多いため、早めの一歩が重要です。

もし借金が発覚したら?正しい対処法

相続放棄は「3ヶ月以内」が絶対条件

親が亡くなり、借金が資産を上回ることが判明した場合、最も有効な手段が相続放棄です。
相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がないことになります。

重要なのは期限です。相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。
この期限は原則として延長されませんが、財産調査に時間がかかる場合は、
「期間伸長の申立て」を行うことで延長が認められるケースもあります。

限定承認という第三の選択肢

あまり知られていませんが、「限定承認」という手続きがあります。
これは「プラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産を引き継ぐ」という方法です。
例えば、資産が500万円、借金が800万円の場合、500万円分だけ返済すれば残りの300万円は負わなくて済みます。

ただし、相続人全員の合意が必要という条件があり、手続きも複雑なため、
弁護士や司法書士などの専門家のサポートを受けるのが現実的です。

絶対に避けるべきNG行動

借金が発覚した場合、以下の行動は「相続を承認した」とみなされ、放棄の権利を失う可能性があります。

  • 親の預貯金を葬儀費用以外の目的で引き出す・使う
  • 相続財産(不動産・家財など)を処分・売却する
  • 借金の一部でも返済してしまう
  • 3ヶ月を超えて何も手続きをしない

「葬儀のために少しお金を使っただけ」と本人は思っていても、状況によっては相続を承認したと判断される可能性があります。
「どこまでなら大丈夫か」を自分で判断せず、借金の疑いがある場合は財産に手をつける前に専門家へ相談してください。

まとめ|親の財産調査は「愛情ある備え」です

この記事では、40代・50代が直面しうる「親の隠し借金リスク」と、
その対策としての財産調査マニュアルをお伝えしてきました。最後に要点を整理します。

この記事のポイント

相続はプラスの財産だけでなく、借金・保証債務もすべて引き継ぐ行為です。
知らないまま3ヶ月が経過すると、相続放棄の権利を失うリスクがあります。

借金の隠れ場所は、消費者金融・リボ払い・連帯保証・親族間の貸し借り・事業債務など多岐にわたります。
信用情報機関3社への開示請求・不動産登記確認・固定資産名寄帳の取得が、プロが実践する基本的な調査手順です。

生前に親と財産の話をすることは、決して縁起が悪いことではありません。
エンディングノートの活用・自然な会話の切り出し・専門家への早期相談が、家族全員を守ることにつながります。

もし借金が発覚した場合は、財産に手をつけず、3ヶ月以内に相続放棄か限定承認を検討してください。

親がまだ元気に動ける「今」が、最も動きやすいタイミングです。
「まさかそんなはずはない」という思い込みを一度手放して、
家族の未来を守るための一歩を踏み出してみてください。


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相続・終活の準備は早いほど選択肢が広がります。まず手始めに、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)への開示請求から始めてみましょう。


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