シルスプのブログへようこそ。
UIデザイナーとして取り組んでいるチャレンジ企画「Daily UI」。
今回のテーマは #074 App Download(アプリ内ダウンロード) です。
ストリーミング全盛のいま、あえて「ダウンロード」を選ぶのはどんなユーザーでしょうか。
それは「オフラインでも楽しみたい」「お気に入りを手元に残したい」という、所有と安心への欲求を持つ人たちです。
今回はアルバム『Concrete Bloom』を題材に、
楽曲が手元に落ちてくるまでの「待ち時間」を不安にさせない、
機能的で美しい音楽ダウンロードUIを制作しました。
この記事では、添付した画面をもとに、視覚階層・フィードバック・コントロール設計の観点から解説します。
1. コンセプト設計:アルバムの世界観に没入させる
1-1. ターゲットと利用シーン
ターゲット:
音楽を愛し、移動中や通信環境の悪い場所でも最高の音質で楽しみたいユーザー利用シーン:
通勤中の地下鉄、機内モードの飛行機、通信制限を気にせずリピートしたい夜のリスニング…など
1-2. デザインの指針:「静かなる進捗」
ダウンロードは、基本的にはバックグラウンドで進む裏方の処理です。
一方でユーザーは常に「本当に進んでいるのか?」と気にしています。
そこで指針としたのは、
音楽への没入を妨げないこと
それでいて進捗を明確に伝えること
この二つを両立させる「静かなる進捗」というコンセプトです。
2. ビジュアルデザインの徹底解剖
完成画面の各要素に込めた意図を見ていきます。

2-1. ヒーローエリア:ビジュアルで世界観を提示
画面上部にはアルバムアートワークを大きく配置しました。
アートワークの役割
コンクリートの街並みに巨大な赤い花が咲くシュールなビジュアルは、アルバムタイトル『Concrete Bloom』を象徴します。
これを大胆に見せることで、再生前から世界観への期待感を高めます。タイポグラフィ
曲名とアーティスト名を中央寄せで配置し、十分な余白(ホワイトスペース)を確保。
情報密度を抑えつつ、洗練された印象と「視線の休みどころ」を両立しています。
2-2. トラックリスト:トグルスイッチで「状態」を管理
今回もっとも特徴的なのが、各曲の右側に置いたトグルスイッチです。
なぜトグルなのか
一般的な「↓」アイコンでは、ダウンロードは一度きりの「単発アクション」に見えます。
しかし、実際には「オフラインで保持するかどうか」という
状態管理が必要です。
そこでトグルスイッチを採用しました。インタラクションのメタファー
スイッチがオンなら「手元にある」、
オフなら「クラウド上にある」──
このメンタルモデルは、多くのユーザーにとって既に馴染み深いものです。
2-3. 進捗フィードバック:重層的な通知設計
画面を見てください。
ダウンロード中の「Neon Rain」では、2段階のフィードバックを行っています。
インラインフィードバック(リスト内の表示)
トグルの横に小さなスピナーを配置し、
その曲が処理中であることを即座に示します。グローバルフィードバック(画面全体への通知)
画面下部にフローティングインジケーターを表示し、「Downloading “Neon Rain”…」とプログレスバーで進捗を伝えます。
この二重構造により、
リストをスクロールしていても、いま何が進行中かを見失わない
プログレスバーという古典的なUIで「あとどのくらい」を予測でき、待ち時間の不安が軽減される
といった効果が得られます。
3. 検索やAIとの親和性を考えた設計
このUIは、人間だけでなく機械にも理解しやすい設計になっています。
3-1. 明確なステータス表示
「ダウンロード済み」「未ダウンロード」「ダウンロード中」の3状態が
視覚的にはっきり分かれています。
これはユーザビリティの評価軸として重要であると同時に、
将来的な技術との相性も考慮しています。
たとえば、Siriなどの音声アシスタントで
「この曲はオフラインで聴ける?」と尋ねられたとき、
トグルの状態という明確なフラグがあれば、正確な回答が可能になります。
3-2. 具体的なマイクロコピー
「ダウンロード中」ではなく「Downloading “Neon Rain”…」と
楽曲名を明記することで、ユーザーは状況を正確に把握でき、
アプリへの信頼感も高まります。
4. アクセシビリティとユーザビリティの配慮
4-1.タップ領域
トグルは指の太さを想定した十分なサイズと間隔を確保し、
誤タップを防いでいます。
4-2.色の意味合い
アクティブなトグルにはブランドカラー(グリーン)を使用し、ひと目で「オン」と分かるようにしました。
今後は色覚多様性にも配慮し、色だけでなく形状やアイコンでも
状態を判別できるよう改善したいと考えています。
4-3.戻る導線
左上に「Album」というラベル付きの戻るボタンを配置。
いま自分が「アルバム詳細」という階層にいることを常に示し、
迷子にさせません。
5. まとめ:ダウンロードUIの本質は「安心感」
Daily UI #074「App Download」では、情報のダウンロードという無機質な処理を、
いかに情緒的で確かな体験に昇華できるかをテーマにしました。
今回のデザインで重視したポイントは次の3つです。
状態を示すトグルスイッチ
所有状況(オフライン保存の有無)がひと目で分かる。フローティング進捗バー
リストを操作していても、ダウンロード状況を見失わない。世界観を優先したビジュアル設計
作業的になりがちなダウンロード画面を、アルバム鑑賞体験の一部として統合する。
音楽アプリにおけるダウンロードは、単なるデータ転送ではありません。
ユーザーがそのアーティストをもっと深く愛そうとするための「準備の儀式」です。
その時間を少しでも心地よいものにすること──それがUIデザイナーとしての私のこだわりです。
次のステップ:さらなる進化のために
このデザインをさらにブラッシュアップするなら、
次のような機能も検討したいと考えています。
一括ダウンロード:アルバム全曲をワンタップでオフライン保存できる「Download All」ボタン
ストレージ管理:ダウンロード済み楽曲が端末容量のどれくらいを占めているかをリアルタイム表示
触覚フィードバック(Haptics):ダウンロード完了時に心地よいバイブレーションを返し、確かな終了感を届ける
音楽アプリにおけるダウンロードは、単なるデータ転送ではありません。
ユーザーがそのアーティストをもっと深く愛するための「準備の儀式」です。
その時間を少しでも心地よいものにできたなら、UIデザイナーとして本望です。
皆さんは、お気に入りの曲をダウンロードするとき、どんなUIに安心感を覚えますか?
ぜひコメントで教えてください。
では、またね〜。







