シルスプのブログにようこそ
UIデザイナーとして挑戦を続ける「Daily UI」。
今回のテーマは #073 Virtual Reality(VR) です。
Daily UI
https://www.dailyui.co/
VRデザインというとゲームのような複雑な操作を想像しがちですが、今回は対極のアプローチ、「引き算のデザイン」を追求しました。
ターゲットは、仕事で疲れ果てた大人が、寝る前の数分間で現実を忘れ、心を整えるための「VR瞑想・リラクゼーションアプリ」です。
この記事では、制作した画面(添付画像)をもとに、
VRデバイスへの橋渡しとなるスマートフォンUIのあり方、
没入感を削がないビジュアル設計、そしてユーザーのストレスを
最小限にするインタラクションについて深掘りします。
1. コンセプト:日常から「聖域」へのグラデーション
1-1. なぜ「瞑想×VR」なのか?
現代の忙しい大人にとって、最大の敵は「情報の多さ」です。
スマホの通知や終わらないタスクから物理的に距離を置くために、
VRの「視界を完全に占有する」という特性は、瞑想との相性が抜群です。
ターゲット:
24時間戦うビジネスパーソンや、家事・育児に追われる大人。利用シーン:
就寝前、部屋の明かりを落とした静かな時間。目的:
視覚と聴覚を完全に切り替え、深いリラックス状態へ導く。
1-2. VRへの「入り口」としてのUI
今回の画面は、スマホをVRゴーグルにセットする直前の「シーン選択画面」です。
ここでのUIの役割は、単なる機能選択ではなく、「これから非日常の世界へ入る」という心の切り替え(儀式)をサポートすることにあります。
2. ビジュアルデザイン:没入感を高める3つの要素
実際の制作画面に基づき、デザインの意図を解説します。

2-1. 背景:境界線を曖昧にする「宇宙の広がり」
画面全体に広がる星空の背景は、アプリを開いた瞬間からユーザーを
広い空間へと連れ出します。
デザイン意図:
物理的なスマホの画面枠を感じさせないよう、奥行きのある宇宙の
画像を採用しました。
これにより、VR体験への心理的なハードルを下げています。夜間利用への配慮:
刺激の強い白を避け、深いブルーとパープルを基調とすることで、メラトニンの分泌を妨げない「目に優しい」配色です。
加えて、画面の輝度も抑えることで、就寝前の使用に最適化しています。
2-2. センターカルーセル:選ぶ楽しさを演出
中央には「静寂な深海」のカードを大きく配置し、左右に「天の川のほとり」
「夜の古代森」をチラ見せするカルーセルレイアウトを採用しました。
視覚的インパクト:
深海の青、宇宙の星、森の緑といった自然のコントラストが、
ユーザーの「あそこへ行ってみたい」という好奇心を刺激します。情報の整理:
カード内には説明文を排し、美しいビジュアルとタイトルのみを表示。
これにより、論理的思考ではなく直感的な感情で選べる設計としました。
2-3. カテゴリータグ:気分に寄り添う
上部には「穏やか」「安らぎ」「開放」といったキーワードタグを配置。
UXの工夫:
「何をしたいか」ではなく「どうなりたいか」という感情ベースのタグにすることで、ユーザーが自分の内面と向き合うきっかけを作っています。
3. インタラクション:迷わせない、疲れさせない設計
3-1. 直感的なスライダー操作
画面下部の「セッション時間」設定には、滑らかなスライダーUIを採用しました。
設定範囲:
忙しい夜でも選びやすい「10分・20分・30分」の3段階。
シンプルな選択肢が、意思決定の疲れを軽減します。アフォーダンス:
円形のハンドルが現在地を明確に示し、暗い場所でも直感的に
操作できるサイズ感にしています。
3-2. VR体験へのラストワンステップ
最も重要な「VRで始める」ボタンは、中央下部に大きく配置。
ビジュアル:
背景に馴染むブルーのグラデーションを使いつつ、
周囲に光彩(グロウ)を放たせることで、クリック(タップ)
すべき場所であることを強調しています。親切なガイダンス:
ボタンの下に「スマホをVRゴーグルにセットして、画面の指示に
従ってください」という注釈を添えました。
VR初心者が「ボタンを押した後どうすればいいか」と不安になるのを防ぐためのマイクロコピーです。
4.言葉で体験を設計する:UIライティングの工夫
このアプリでは、UIの言葉選びにも細心の注意を払いました。
特に注目したのが、ユーザーへの「問いかけ」です。
「今日はどんな場所で、心を落ち着かせたいですか?」
この一文は、単なるコマンドではなく、ユーザー自身の内面と対話する
きっかけを作ります。
命令形(「選んでください」)ではなく、疑問形にすることで、
よりパーソナルで優しい印象を与えています。
また、「深海」「天の川」「古代森」といった固有名詞は、
それぞれの世界観を一言で想起させる力があります。
これらの言葉は、検索クエリとの親和性も高く、SEO(検索エンジン最適化)やAEO(AI検索最適化)の観点からも効果的です。
- 「今日はどんな場所で、心を落ち着かせたいですか?」
この一文は、単なるコマンドではなく、ユーザーへの「問いかけ」です。
AIはこの文脈から、このアプリが「癒やし」や「セルフケア」の文脈で
価値を提供していることを理解します。 - 固有名詞の情緒的価値:「深海」「天の川」「古代森」といったキーワードは、
VRコンテンツとしてのリッチさを想起させ、検索クエリとの親和性を
高めます。
5. アクセシビリティとユーザビリティの検証
ダークモードの徹底:
夜間使用を前提に、コントラスト比(WCAG 2.1基準)を保ちつつ
発光感を抑えた配色を採用しました。大きなタップ領域:
スマホをゴーグルに入れる直前は、ユーザーの手元がおぼつかない
こともあります。
ボタンやスライダーは、押しやすさを最優先したサイズ設計です。
6. まとめ:VR UIは「体験の橋渡し」
Daily UI #073「Virtual Reality」の制作を通じて気づいたのは、
VR UIデザインとは、ゴーグル内の世界だけでなく、
「そこへ至る道のり」も含めた体験設計だということです。
スマホ画面からVRの世界へ、ユーザーがいかに「滑らかに、ストレスなく没入できるか」。
その橋渡しこそが、モバイルUIデザイナーの腕の見せ所です。
感情にフォーカスした言葉選び。
直感的に操作できるシンプルなレイアウト。
世界観を壊さないビジュアルの一貫性。
これらを意識することで、忙しい大人の夜を彩る、最高の瞑想体験を提供できると確信しています。
次のステップ:VRの中のUIはどうあるべきか?
今回は「入り口」をデザインしましたが、次のステップとして
「VR空間内でのUI(ダイエジェティックUI)」についても探求して
いきたいと考えています。
視線入力やハンドトラッキングを前提とした、メニューが空間に
溶け込むようなデザイン。
それもまた、UIデザイナーにとって非常にエキサイティングな領域です。
皆さんは、VRでどんな体験をデザインしてみたいですか?
では、またね~







