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「父の遺産分割、もう終わったと思ってたのに…」
会社の同僚が青ざめた顔でそう言いました。
3ヶ月かけて兄弟で話し合い、やっと合意にこぎつけたのに、
父の前妻との間に子供がいたことが判明したのです。
それまでの協議は全て無効。
最初からやり直しです。
なぜこんなことが起きるのか?
それは「誰が相続人なのか」という基礎知識の欠如が原因です。
40代、50代のビジネスパーソンにとって、
親の高齢化に伴う「相続」は避けて通れない課題です。
仕事で忙しい日々の中、突然の事態に直面した際、
もっともトラブルの元になるのが
「誰が遺産をもらう権利があるのか?」という基本の理解不足なのです。
なぜ今、ビジネスパーソンに「相続人の把握」が必要なのか
40代、50代のビジネスパーソンにとって、親の高齢化に伴う「相続」は避けて通れない課題です。仕事で忙しい日々の中、突然の事態に直面した際、もっともトラブルの元になるのが「誰が遺産をもらう権利があるのか?」という基礎知識の欠如です。
相続人が一人でも欠けていたら、どうなるか?
遺産分割協議は、法律上「無効」になります。
全てやり直しです。
後から「実は異母兄弟がいた」と判明した場合、
それまでの話し合いはすべて白紙に戻り、
最初からやり直さなければなりません。
まずは正しい優先順位を知ることが、無用な争いを防ぐ第一歩です。
配偶者は常に1位 知っておきたい「配偶者相続人」の絶対的権利
日本の法律において、亡くなった人の配偶者(妻や夫)は、
どのような状況でも「常に相続人」となります。
長年生活を共にしてきたパートナーの今後の生活を保障する
という考え方が根底にあるためです。
⚠️ 重要な注意点 ⚠️
これは「法律上の婚姻関係」にあることが絶対条件です。
【相続権がない例】
・事実婚や内縁の妻・夫
・離婚が成立した元配偶者
・婚姻届を出していない同居パートナー
例えば、30年連れ添った内縁の妻であっても、
婚姻届を出していなければ、法定相続権は一切認められません。
この場合、遺産は全て故人の子供や親に渡ります。
もし「籍は入れてないけど家族同然」という関係があるなら、
必ず遺言書を作成しておく必要があります。
血族の優先順位
第1順位から第3順位までの仕組みをマスターする
配偶者以外の親族(血族)には、以下の表のような優先順位があります。
| 順位 | 対象者 | 備考 |
| 第1順位 | 子供 | 子供がいれば、親や兄弟に順番は回りません。 |
| 第2順位 | 父母・祖父母 | 子供がいない場合にのみ、相続権が発生します。 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 子供も親もいない場合に、初めて相続権が発生します。 |
【重要ポイント】
子供が1人でもいれば?
故人の親や兄弟には、遺産をもらう権利は一切ありません。
順位が下がるのです。
これは「世代が近い人」から順に引き継ぐのが自然である
と考えられているためです。
「代襲相続」の落とし穴
孫や甥・姪が相続人になるケースとは
相続人になるはずだった人が、本人より先に亡くなっている場合、
「代襲(だいしゅう)相続」というルールが発動します。
本来引き継ぐはずだった権利を、その下の世代に承継させることで、
家族間の公平性を保つためです。
【代襲相続の図解】
パターン1:子供の代襲(孫が相続人になる)
祖父(故人)
├─ 長男(すでに死亡) → 孫A、孫B が代襲相続
└─ 次男(存命) → 次男が相続
この場合の相続人:
・配偶者(祖母)
・次男
・孫A、孫B(長男の代わり)
パターン2:兄弟の代襲(甥・姪が相続人になる)
故人(子なし、親なし)
└─ 兄(すでに死亡) → 甥C が代襲相続
この場合の相続人:
・配偶者
・甥C(兄の代わり)
⚠️ 注意:代襲相続は「一代限り」
・子供の場合:孫 → ひ孫 → 玄孫…と無限に続く
・兄弟の場合:甥・姪まで(その下の世代には権利なし)
この違いが、実務上のトラブルの元になることがあります。
実務の第一歩
「戸籍」を集めて相続人を確定させる重要性
頭の中で「相続人はこれだけだ」と思っていても、
法的な手続き(銀行解約や不動産の名義変更)では、
それを証明する証拠が必要です。
本人の申告だけでは、隠れた相続人の有無を確認できないため、
金融機関や法務局は必ず客観的な資料を求めるからです。
【戸籍収集の実態】
必要な戸籍:
故人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本すべて
これがどれだけ大変か、実例で見てみましょう:
【実例】80歳で亡くなった父の戸籍を集めた場合
1. 現在の本籍地(大阪市)で死亡時の戸籍を取得
2. 結婚時に転籍していたので、前の本籍地(京都市)に郵送請求
3. さらに就職で転籍していたので、その前の本籍地(広島県)に請求
4. 広島県の役場から「戦災で一部焼失」の連絡…再調査
5. 最終的に5つの市町村から7通の戸籍を取得
かかった期間:約6週間
費用:郵送料込みで約1万5千円
これにより、以前の結婚でもうけた子供や、
認知した子供がいないかを公的に証明します。
この「戸籍収集」こそが、相続実務において
最も重要で、最も時間がかかる作業です。
【今からできる準備】
親が元気なうちに、本籍地の変遷を聞いておきましょう。
「結婚前はどこに住んでた?」「転勤で本籍移した?」
この情報があるだけで、相続時の負担が劇的に減ります。
【要注意】「知らない相続人」が現れるパターン
相続実務で最もトラブルになるのが、
家族も知らなかった「隠れた相続人」の存在です。
パターン1:前妻・前夫との子供
父が若い頃に離婚していた場合、
その時の子供にも相続権があります。
例:現在の妻との間に子供2人
前妻との間に子供1人(音信不通)
→ 相続人は合計3人
→ 前妻の子を探し出して連絡を取る必要がある
パターン2:認知した婚外子
正式な結婚をしていなくても、
「認知」していれば法的には子供として扱われます。
例:生前に認知した女性との子供がいた
→ 戸籍を調べて初めて判明
→ 相続権は嫡出子と同等
パターン3:養子縁組
血縁関係がなくても、
法的に養子縁組していれば実子と同じ権利があります。
例:再婚相手の連れ子を養子にしていた
→ その子供にも相続権がある
これらは戸籍を調べなければ絶対に分かりません。
「うちの家族は把握してる」という思い込みが、
最大のトラブルの元になるのです。
【まとめ】相続人の把握が、全ての出発点
今回の記事では、相続の基礎である「法定相続人の優先順位」について解説しました。
✓ 配偶者は常に相続人(ただし法律婚のみ)
✓ 血族には優先順位(1位:子、2位:親、3位:兄弟)があり、
上位がいれば下位には回らない
✓ 代襲相続により、孫や甥・姪が相続人になるパターンもある
✓ 手続きには出生から死亡までの戸籍謄本が不可欠
【今週末にやるべきこと】
□ 自分の家族構成を紙に書き出してみる
(配偶者、子、親、兄弟…誰が何順位?)
□ 親に「昔、本籍地を移したことある?」と聞いておく
(戸籍収集の負担が激減します)
□ 親の結婚歴・養子縁組の有無を確認する
(聞きにくいですが、今聞くのが最善です)
相続は、ビジネスと同様に「現状把握」が成功の鍵です。
まずは自分の家族構成を法律の視点で見つめ直し、
誰が相続人になるのかを正確に把握することから始めましょう。
関連記事:
→ 【第1回】相続の全体像(プラス・マイナスの財産)
【次回予告】
次回は『「遺産分割協議」って何?』を解説します。
では、またね~





