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「父が認知症になって、自宅を売って介護費用に充てようとしたら、銀行も不動産も何もできなくなった…」
これは、私の知人が実際に経験した話です。
認知症になると、法律上「意思能力がない」とみなされ、あらゆる契約や法律行為ができなくなります。
- 遺言書を書くこともできない
- 生前贈与もできない
- 不動産を売ることもできない
つまり、本人の意思に基づいて行う相続対策は、ほぼすべてストップしてしまいます。
「まだ大丈夫」は危険な思い込み
「まだ親は元気だから大丈夫」
そう思っていませんか?
でも、認知症は突然やってきます。
厚生労働省などの資料では、2025年には65歳以上の認知症の人が約650〜700万人、
高齢者のおよそ5人に1人になると推計されています。
つまり、あなたの親も「いつ認知症になってもおかしくない」のです。
40代・50代が直面する「親の認知症リスク」
40代・50代になると、親は70代・80代。
まさに認知症リスクが高まる年齢です。
認知症の発症率(年齢別):
- 65〜69歳:約3%
- 70〜74歳:約5%
- 75〜79歳:約10%
- 80〜84歳:約20%
- 85歳以上:約40%
80代になると、5人に1人が認知症です。
この記事で分かること
今日は、親が認知症になる前に、今すぐ始めるべき相続対策を完全解説します。
この記事で分かること:
- 認知症になると何ができなくなるのか(法律行為の制限)
- 成年後見制度の落とし穴(柔軟性なし、コスト高)
- 親が元気なうちにすべき5つの対策(遺言書、生前贈与、家族信託など)
- 家族信託が認知症対策の最適解である理由(メリットと具体的な仕組み)
- 今日からできる3つのアクション(優先順位とタイムライン)
最後まで読めば、「手遅れ」になる前に、何をすべきか明確になります。
親の認知症対策は、知識があるかないかで、天と地の差が出ます。
今日から、備えを始めましょう。
認知症になると何ができなくなるのか
認知症と法律行為の関係
親が認知症になると、なぜ相続対策ができなくなるのでしょうか?
まずは、基本的な仕組みを理解しましょう。
「意思能力」がないと契約は無効
法律の世界では、「意思能力」がとても重要です。
意思能力とは: 自分の行為の結果を理解し、判断する能力のこと。
民法第3条の2: 「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする。」
つまり、意思能力がないと、契約や遺言書はすべて無効になります。
認知症
認知症になると、症状の程度によっては「意思能力がない」と判断されることが多くなります。
特に中等度〜重度になると、「自分の行為の結果を理解できない」と評価され、法律行為が無効とされるリスクが高くなります。
理由:
- 記憶障害
- 判断力の低下
- 見当識障害(時間・場所・人物が分からない)
これらの症状により、**「自分の行為の結果を理解できない」**と判断されます。
できなくなること(5つ)
認知症になると、以下のことができなくなります。
1. 遺言書の作成
遺言書は、意思能力がないと無効です。
認知症と診断された後に書いた遺言書は、
「意思能力がない状態で書かれた」として、相続人から無効を主張される可能性が高い。
実際の判例: 認知症の診断後に書かれた遺言書が、裁判で無効とされたケースが多数あります。
2. 生前贈与
生前贈与も、契約の一種です。
意思能力がないと、贈与契約は無効。
つまり、認知症になったら、生前贈与による相続税対策ができません。
例:
- 年110万円の非課税贈与
- 相続時精算課税制度
- 住宅取得等資金の贈与
これらすべてが、認知症になるとできなくなります。
3. 不動産の売却
不動産の売買契約も、意思能力が必要です。
認知症になると、自宅を売ることができません。
困るケース:
- 介護費用を捻出するために自宅を売りたい
- 相続税対策で不動産を整理したい
- 施設に入るために自宅を処分したい
これらすべてが、認知症になるとできなくなります。
4. 銀行での取引
銀行も、本人に意思能力がないと判断すると、取引を停止します。
できなくなること:
- 預金の引き出し
- 定期預金の解約
- 口座の解約
- ローンの契約
実例: 「父が認知症になり、銀行が取引を停止。介護費用を引き出せなくなった」というケースが多発しています。
5. 相続税対策
相続税対策のほとんどが、意思能力が必要です。
できなくなる対策:
- 生命保険への加入(新規)
- 養子縁組
- 土地の有効活用(賃貸など)
- 会社設立
認知症になると、これらすべてができなくなります。
「判断能力がない」と判断される基準
Q. どのタイミングで「意思能力がない」と判断されるのか?
A. 明確な基準はありません。個別に判断されます。
判断材料:
- 医師の診断書
- 認知症の進行度(軽度、中等度、重度)
- 長谷川式認知症スケール(HDS-R)の点数
- 本人との面談
目安:
- 軽度認知症:ケースバイケース(契約内容による)
- 中等度以降では、多くのケースで「意思能力がない」と判断されやすくなります。
認知症診断のタイミングが重要
重要:認知症と診断される「前」に対策を完了させる必要があります。
理由: 診断後に行った法律行為は、後から無効を主張される可能性が高い。
例:
- 2023年1月:認知症と診断
- 2023年3月:遺言書を作成
- 2024年:相続発生
- 遺言書が「意思能力なし」として無効を主張される
結論:診断される前、つまり「今」対策を始めるべきです。
重要ポイント
認知症になると、法律上「意思能力がない」とみなされ、あらゆる契約や法律行為ができなくなります。
できなくなること:
- 遺言書の作成
- 生前贈与
- 不動産の売却
- 銀行での取引
- 相続税対策
「まだ大丈夫」と思っている今が、対策のラストチャンスです。
次のブロックでは、認知症になった後の「成年後見制度」の問題点を見ていきましょう。
成年後見制度の落とし穴
「認知症になったら成年後見制度があるから大丈夫」は本当か?
「認知症になっても、成年後見制度があるから大丈夫でしょ?」
そう思っていませんか?
実は、成年後見制度には深刻な問題があります。
成年後見制度とは
成年後見制度とは: 判断能力が不十分な人の財産や権利を守るため、家庭裁判所が選任した後見人が、本人に代わって財産管理や契約を行う制度。
2種類あります:
1. 法定後見制度
- 認知症になった後に、家庭裁判所に申し立て
- 裁判所が後見人を選ぶ
2. 任意後見制度
- 認知症になる前に、自分で後見人を決めて契約
- 認知症になったら、その人が後見人になる
多くの人が利用するのは「法定後見制度」です。
法定後見制度の3つのデメリット
法定後見制度には、致命的なデメリットがあります。
デメリット1:柔軟性がない(相続税対策ができない)
法定後見人の役割: 「本人の財産を守ること」
つまり、本人の財産を減らす行為はできません。
できないこと:
- 生前贈与(本人の財産が減る)
- 相続税対策(本人の利益にならない)
- 不動産の組み替え(リスクがある)
- 投資(リスクがある)
具体例:
「父の相続税を減らすために、生前贈与したい」
→ 法定後見人「できません。本人の財産を減らす行為は認められません」
「自宅を売って、介護費用に充てたい」
→ 法定後見人「本人が住んでいる自宅を売るには、家庭裁判所の許可が必要です。簡単には売れません」
結論:法定後見制度では、相続税対策がほぼできません。
デメリット2:コストが高い(一生涯、報酬が発生)
法定後見人への報酬:
- 月額2〜6万円(財産額による)
- 一生涯、支払い続ける必要がある
計算例: 父が75歳で認知症になり、90歳まで生きた場合
月額3万円 × 12ヶ月 × 15年 = 540万円
さらに、専門家を後見人にした場合:
- 司法書士・弁護士への報酬
- 財産調査費用
- 家庭裁判所への申立費用
合計で、数百万円のコストがかかります。
デメリット3:家族が後見人になれない(ことが多い)
法定後見人は、家庭裁判所が選びます。
選ばれる後見人:
- 弁護士:約28%
- 司法書士:約26%
- 社会福祉士:約15%
- 親族:約20%
最高裁の統計では、成年後見人等に選任される人のうち「親族」は約2割にとどまり、
残り約8割は弁護士・司法書士・社会福祉士など親族以外の専門家が占めています。
理由:
- 財産の使い込みを防ぐため
- 利益相反を避けるため
結果: 「赤の他人に、父の財産を管理されることになった」 というケースが多発しています。
実際のトラブル事例
事例1:不動産売却ができない
母が認知症になり、法定後見制度を利用。
母の自宅を売って、介護施設の費用に充てたいと思ったが、
後見人が「本人の住まいを売るのは慎重に」と反対。
家庭裁判所の許可も必要で、手続きに1年以上かかった。
その間、介護費用は自己負担で立て替え。
事例2:相続税対策ができない
父が認知症になり、法定後見制度を利用。
父の財産は1億円あり、相続税が高額になることが予想された。
生前贈与で相続税を減らしたかったが、
後見人が「本人の財産を減らす行為はできません」と却下。
結局、相続税対策は何もできず、
相続時に3,000万円以上の相続税を支払うことに。
事例3:家族が後見人になれなかった
母が認知症になり、娘が後見人になりたいと申し立て。
しかし、家庭裁判所が「財産額が多いため、専門家を選任します」と判断。
結果、見ず知らずの司法書士が後見人に。
月額5万円の報酬を、母が亡くなるまで15年間支払い続けた。
合計900万円。成年後見制度の利用件数と現実
法定後見制度の利用件数(2022年):
- 約24万件
問題点:
- 一度始めると、途中でやめられない
- 本人が亡くなるまで続く
- 家族の意向が反映されにくい
多くの家族が後悔しています。
任意後見制度なら大丈夫?
任意後見制度とは: 認知症になる前に、自分で後見人を決めて契約する制度。
メリット:
- 自分で後見人を選べる(家族でもOK)
- 法定後見より柔軟性がある
デメリット:
- それでも、相続税対策は難しい
- 家庭裁判所の監督下に置かれる
- 報酬は発生する
結論:任意後見制度も、完璧ではありません。
重要ポイント
成年後見制度は、「財産を守る」ための制度です。
3つのデメリット:
- 柔軟性がない(相続税対策ができない)
- コストが高い(一生涯、報酬が発生)
- 家族が後見人になれない(ことが多い)
結論:成年後見制度に頼るのではなく、認知症になる「前」に対策を完了させるべきです。
次のブロックでは、親が元気なうちにすべき5つの対策を解説します。
親が元気なうちにすべき相続対策
「手遅れ」になる前に
ここまで、認知症になるとできなくなること、成年後見制度の問題点を見てきました。
では、親が元気なうちに、何をすべきなのでしょうか?
具体的な対策を、優先順位順に解説します。
対策1:遺言書の作成(最優先)
遺言書は、相続対策の基本中の基本です。
遺言書がないと:
- 法定相続分で分割される
- 遺産分割協議が必要(全員の合意が必要)
- 相続人間でトラブルになる可能性
遺言書があれば:
- 親の意思通りに相続できる
- 遺産分割協議が不要
- トラブルを防げる
遺言書の種類
1. 自筆証書遺言
特徴:
- 自分で書く
- 費用がかからない
- 法務局で保管できる(2020年〜)
メリット:
- 手軽
- プライバシーが守られる
デメリット:
- 形式不備で無効になる可能性
- 紛失・改ざんのリスク
2. 公正証書遺言(おすすめ)
特徴:
- 公証役場で作成
- 公証人が関与
- 原本が公証役場に保管される
メリット:
- 形式不備の心配なし
- 紛失・改ざんの心配なし
- 家庭裁判所の検認が不要
デメリット:
- 費用がかかる(5〜10万円)
おすすめは、公正証書遺言です。
遺言書作成の流れ
ステップ1:財産のリストアップ
- 不動産、預金、株式、保険などをリスト化
ステップ2:相続人の確認
- 法定相続人を確認
ステップ3:誰に何を相続させるか決める
- 配偶者、子ども、孫など
ステップ4:公証役場で作成
- 必要書類を持参
- 公証人と打ち合わせ
- 遺言書を作成
費用:
- 公証人手数料:5〜10万円(財産額による)
- 証人の手数料:1〜2万円
対策2:生前贈与(相続税対策)
生前贈与は、相続税を減らす最も基本的な方法です。
方法1:暦年贈与(年110万円まで非課税)
仕組み:
- 年間110万円まで贈与税がかからない
- 毎年贈与すれば、相続財産を減らせる
例:
- 子ども2人に、毎年110万円ずつ贈与
- 10年間で2,200万円を非課税で移転
注意点:
- 贈与契約書を作成する
- 贈与の事実を記録に残す
- 「定期贈与」とみなされないようにする
方法2:相続時精算課税制度
仕組み:
- 2,500万円まで贈与税がかからない
- ただし、相続時に相続財産に加算される
メリット:
- 一度に大きな金額を贈与できる
- 贈与税がかからない
デメリット:
- 相続時に相続税がかかる
- 一度選ぶと、暦年贈与に戻れない
おすすめは、暦年贈与です。
対策3:家族信託の活用(認知症対策の切り札)
家族信託は、認知症対策の最強の手段です。
家族信託では、受託者(子ども)が財産を管理するため、成年後見制度よりも柔軟に生前贈与や不動産の整理などの相続対策を進めやすくなります。
これについては、次のブロックで詳しく解説します。
対策4:任意後見契約の締結
任意後見契約とは: 認知症になる前に、自分で後見人を決めて契約する制度。
メリット:
- 自分で後見人を選べる
- 法定後見より柔軟性がある
手続き:
- 公証役場で契約書を作成
- 費用:5〜10万円
注意: 家族信託の方が柔軟性が高いため、まずは家族信託を検討すべきです。
対策5:生命保険の活用(相続税対策)
生命保険は、相続税対策として有効です。
仕組み:
- 生命保険金は「500万円 × 法定相続人の数」まで非課税
- 受取人を指定できる
例: 法定相続人が3人の場合: 500万円 × 3人 = 1,500万円まで非課税
メリット:
- 相続税が減る
- 納税資金を確保できる
- 受取人を指定できる
おすすめ:
- 終身保険
- 一時払い終身保険
やるべきことの優先順位
優先順位1:遺言書の作成 → すべての基本。今すぐやるべき。
優先順位2:家族信託の検討 → 認知症対策として最強。財産額が多い場合は必須。
優先順位3:生前贈与の開始 → 早く始めるほど効果が大きい。
優先順位4:生命保険の加入 → 相続税対策として有効。
優先順位5:任意後見契約 → 家族信託を利用しない場合の選択肢。
タイムライン
今日:
- 親と「相続の話」をする
- 財産のリストアップ
今週:
- 公証役場に相談(遺言書)
- 司法書士に相談(家族信託)
今月:
- 遺言書の作成
- 家族信託の契約締結
- 生前贈与の開始
今年:
- 生命保険の加入
- 年110万円の贈与を続ける
重要ポイント
親が元気なうちにすべき5つの対策:
- 遺言書の作成(最優先)
- 生前贈与(年110万円非課税)
- 家族信託(認知症対策の切り札)
- 任意後見契約(家族信託の代替)
- 生命保険(相続税対策)
「今」始めることが、将来の後悔を防ぎます。
次のブロックでは、家族信託が認知症対策の最適解である理由を詳しく解説します。
家族信託が認知症対策の最適解である理由
家族信託とは何か
家族信託は、認知症対策として最も優れた方法です。
なぜなら、認知症になった後も、柔軟に財産管理ができるからです。
家族信託の基本的な仕組み
家族信託とは: 親(委託者)が、信頼できる家族(受託者)に財産の管理を託す契約。
登場人物(3者):
1. 委託者(いたくしゃ) → 財産を託す人(親)
2. 受託者(じゅたくしゃ) → 財産を管理する人(子ども)
3. 受益者(じゅえきしゃ) → 財産から利益を受ける人(親)
具体例:
委託者: 父(75歳) 受託者: 長男(45歳) 受益者: 父(75歳)
父が、自分の財産(不動産、預金)を長男に託す。 長男が管理するが、利益は父が受け取る。
父が認知症になっても、長男が財産を管理できる。
家族信託の5つのメリット
メリット1:認知症になっても財産管理ができる
最大のメリットがこれです。
家族信託を設定しておけば、親が認知症になっても、 受託者(子ども)が財産を管理できます。
できること:
- 不動産の売却
- 預金の引き出し
- 賃貸物件の管理
- 相続税対策
成年後見制度との違い:
- 成年後見:相続税対策ができない
- 家族信託:相続税対策ができる
メリット2:柔軟性が高い
家族信託は、自由に設計できます。
例:
- 「不動産は売却してもいい」
- 「生前贈与は年200万円まで」
- 「孫の教育資金に使っていい」
契約書に書いておけば、受託者はその範囲で自由に管理できます。
成年後見制度との違い:
- 成年後見:家庭裁判所の許可が必要
- 家族信託:受託者の判断で柔軟に対応できる
メリット3:コストが安い
家族信託の費用:
初期費用:
- 司法書士への報酬:30〜50万円
- 公証人手数料:3〜5万円
- 登記費用:5〜10万円
合計:40〜65万円
ランニングコスト:
- 基本的になし
- 信託口座の管理費:年1〜2万円程度
成年後見制度との比較:
- 成年後見:月額2〜6万円(一生涯) → 15年で360〜1,080万円
- 家族信託:初期費用のみ → 40〜65万円
圧倒的に安いです。
メリット4:遺言書の代わりになる
家族信託には、「遺言代用信託」という機能があります。
仕組み: 親(委託者)が亡くなった後、財産を誰に渡すか、契約書で決めておける。
メリット:
- 遺言書を書かなくていい
- 遺産分割協議が不要
- 相続手続きがスムーズ
例: 「父が亡くなったら、自宅は母に、預金は長男に」 と契約書に書いておけば、その通りに相続される。
メリット5:相続税対策ができる
家族信託では、受託者(子ども)が財産を管理するため、柔軟に相続税対策ができます。
できること:
- 生前贈与
- 不動産の組み替え
- 賃貸物件の建築
- 法人への移転
成年後見制度では、これらができません。
家族信託の具体的な活用例
ケース1:不動産の管理
シナリオ: 父(75歳)が賃貸マンションを所有。 認知症になったら、管理ができなくなる。
家族信託の設定:
- 委託者:父
- 受託者:長男
- 受益者:父
効果: 父が認知症になっても、長男が賃貸マンションを管理。 家賃収入は父が受け取る。
必要なら、マンションを売却することもできる。
ケース2:相続税対策
シナリオ: 父(75歳)の財産は2億円。 相続税が高額になる。
家族信託の設定:
- 委託者:父
- 受託者:長男
- 受益者:父
効果: 長男が財産を管理するため、柔軟に相続税対策ができる。
- 生前贈与を実行
- 不動産を売却して現金化
- 生命保険に加入
父が認知症になっても、対策を続けられる。
家族信託の費用と手続き
費用の内訳
初期費用:
- 司法書士への報酬:30〜50万円
- 契約書の作成
- 信託登記の手続き
- 公証人手数料:3〜5万円
- 登記費用:5〜10万円
合計:40〜65万円
ランニングコスト:
- 信託口座の管理費:年1〜2万円
- 税務申告(必要な場合):年5〜10万円
手続きの流れ
ステップ1:専門家に相談(今週)
- 司法書士、弁護士、税理士に相談
- 家族信託が適しているか確認
ステップ2:信託契約書の作成(1〜2ヶ月)
- 財産の内容を確認
- 誰を受託者にするか決める
- 契約書を作成
ステップ3:公証役場で契約締結(1日)
- 公証人の前で契約
- 契約書を公正証書にする
ステップ4:信託登記(1〜2週間)
- 不動産を信託登記
- 受託者名義に変更
ステップ5:信託口座の開設(1〜2週間)
- 銀行で信託口座を開設
- 財産を信託口座に移す
合計期間:2〜3ヶ月
専門家の選び方
家族信託は、専門知識が必要です。 必ず専門家に相談しましょう。
司法書士
得意分野:
- 信託契約書の作成
- 信託登記の手続き
費用:
- 30〜50万円
選び方:
- 「家族信託 専門」で検索
- 実績を確認
弁護士
得意分野:
- 複雑なケース(相続人間のトラブルなど)
- 法律的な判断
費用:
- 50〜100万円
選び方:
- 相続専門の弁護士
- 家族信託の実績を確認
理士
得意分野:
- 相続税対策
- 税務申告
費用:
- 相談料:1〜3万円/時
- 税務申告:年10〜30万円
選び方:
- 相続税専門の税理士
- 家族信託に詳しい人
家族信託を使うべき人
こんな人におすすめ:
- 財産が多い(3,000万円以上)
- 不動産を持っている
- 認知症のリスクがある
- 相続税対策をしたい
- 成年後見制度を避けたい
逆に、家族信託が不要な人:
- 財産が少ない(1,000万円以下)
- 相続人が1人だけ
- 不動産がない
重要ポイント
家族信託が認知症対策の最適解である5つの理由:
- 認知症になっても財産管理ができる
- 柔軟性が高い(相続税対策も可能)
- コストが安い(初期費用のみ)
- 遺言書の代わりになる(遺言代用信託)
- 相続税対策ができる(生前贈与など)
費用:初期40〜65万円 期間:2〜3ヶ月
「親が元気なうちに」設定することが重要です。
認知症になってからでは、家族信託は設定できません。
次は、まとめです。
まとめ:親の認知症対策は「今」始めるべき──手遅れになる前に
親が認知症になると、法律上「意思能力がない」とみなされ、あらゆる相続対策ができなくなります。
遺言書を書くこともできない。 生前贈与もできない。 不動産を売ることもできない。
成年後見制度があっても、柔軟性がなく、コストも高く、相続税対策もできません。
しかし、親が元気なうちに対策を完了させれば、認知症になっても財産管理ができます。
この記事のポイント
1. 認知症になるとできなくなること
- 遺言書の作成
- 生前贈与
- 不動産の売却
- 銀行での取引
- 相続税対策
2. 成年後見制度の3つのデメリット
- 柔軟性がない(相続税対策ができない)
- コストが高い(一生涯、月2〜6万円)
- 家族が後見人になれない(約80%)
3. 親が元気なうちにすべき5つの対策
- 遺言書の作成(最優先)
- 生前贈与(年110万円非課税)
- 家族信託(認知症対策の切り札)
- 任意後見契約(家族信託の代替)
- 生命保険(相続税対策)
4. 家族信託が最適解である5つの理由
- 認知症になっても財産管理ができる
- 柔軟性が高い(相続税対策も可能)
- コストが安い(初期費用40〜65万円のみ)
- 遺言書の代わりになる
- 相続税対策ができる
今日から始める3つのアクション
アクション1:親と「相続の話」をする(今週)
財産のリストアップ、遺言書の有無を確認。 「まだ早い」ではなく、「今だからこそ」と伝えましょう。
アクション2:専門家に相談(今月)
- 遺言書:公証役場
- 家族信託:司法書士・弁護士
- 相続税対策:税理士
無料相談を活用し、何をすべきか明確にしましょう。
アクション3:対策を実行(今年)
- 遺言書の作成
- 家族信託の契約締結
- 生前贈与の開始
今年中に、最低限の対策を完了させましょう。
最後に
親の認知症対策は、「知らなかった」では済まされません。
2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されています。
あなたの親も、「いつ認知症になってもおかしくない」のです。
「その時」が来てから後悔しても、手遅れです。
でも、知識と準備があれば、認知症になっても家族を守れます。
今日から、備えを始めましょう。
「備えあれば憂いなし」です。
この記事が、あなたとあなたの家族を守る一助になれば幸いです。
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基礎知識編
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→ 【第2回】法定相続人の優先順位
→ 【第4回】相続税の基礎控除
実践編
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→【第7回】小規模宅地等の特例
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生前対策編
→【第8回】暦年贈与の正しい使い方
→【第9回】遺言書が家族の絆を守る本当の理由
→【第10回】借金から家族を守る相続放棄の全知識
次回は、デジタル遺産の恐怖!スマホやネット口座の情報を残す方法
です。お楽しみに
では、またね〜






