シルスプのブログにようこそ
私ごとですが、昨年の年末に父が亡くなりました。
葬儀を終えたその日から、役所への届け出、銀行口座の凍結解除、
遺産分割の話し合い…次々と押し寄せる手続きの波。
仕事を休めない中、
「どの銀行に口座があるのか」すら分からず、
実家の引き出しを片っ端から探す日々でした。
「もっと早く準備しておけば」
何度そう思ったか分かりません。
同じように戸惑う人がいなくなるように、
「相続の全体像」を初心者にも分かるように整理する連載をスタートします。
40〜50代のビジネスパーソンが、
仕事と生活を守るための実務的な相続知識をお届けしていきます。
相続は「ある日突然」やってくる。ビジネスパーソンが知るべき覚悟
仕事に家庭にと忙しい日々を送る40〜50代にとって、
「親の相続」は遠い先の話のように思えるかもしれません。
相続はある日突然、やってきます。
何の予告もなく。
相続とは、亡くなった方の権利と義務をまるごと引き継ぐことです。
それは預貯金やマイホームといった「輝かしい遺産」だけでなく、
隠れた負債や義務も含まれます。
準備不足のまま直面すると、自身の生活基盤すら揺るがしかねません。
まずは「何を引き継ぐのか」という全体像を把握することが、
リスクマネジメントの第一歩です。
【知っていますか?】
・相続経験者の約6割が「準備不足だった」と回答(日本相続学会調査)
・相続トラブルの約7割は「遺産5,000万円以下」の家庭で発生
「うちは資産家じゃないから大丈夫」
そう思っていた普通の家庭ほど、実は揉めています。
準備不足のまま直面すると、自身の生活基盤すら
揺るがしかねません。
プラスの財産:見落としがちな資産リスト
一般的に「遺産」と聞いて思い浮かべるのは、現金や不動産でしょう。
しかし、現代の相続資産は多岐にわたります。
金融資産: 預貯金、株式、投資信託、生命保険金。
実物資産: 自宅、賃貸物件、貴金属、車、骨董品。
権利: 著作権、特許権、ゴルフ会員権など。
【特に注意】現代特有の「デジタル遺産」
・ネット銀行、ネット証券
・暗号資産(仮想通貨)
・サブスクリプション(月額課金サービス)
・ポイント(楽天、Amazonなど)
通帳も書類も残らないため、家族が存在に気づけないまま
放置されるケースが急増しています。
実際、私の父も「ネット証券に200万円分の株があった」ことを、
偶然メールの履歴から発見しました。
パスワードが分からず、手続きに3ヶ月かかりました。
「どこに何があるか」を事前に共有しておくことが、
現代の相続において最も重要です。
プラスの財産を正確に把握することは、
適切な税務申告と円満な遺産分割の前提条件です。
マイナスの財産:「負の遺産」の実態
相続における最大の落とし穴は「マイナスの財産」です。
相続人は、亡くなった人の借金も支払う義務を負わなければなりません。
借入金: 住宅ローン、カードローン、事業用融資。
未払金: 未納の税金(所得税・住民税など)、入院費、公共料金。
保証債務: 他人の借金の連帯保証人としての地位。
特に注意が必要なのが「連帯保証人」の地位です。
【実際にあった怖い事例】
Aさん(50代会社員)は、父の相続後に突然、
500万円の返済請求書が届きました。
父が20年前に友人の事業資金の連帯保証人になっていたのです。
友人の事業が破綻し、その借金がAさんに降りかかってきました。
亡くなった本人が借金をしていなくても、
生前に知人の保証人になっていた場合、
その義務も相続されます。
これを知らずに相続手続きを進めると、
後から多額の請求が届き、自身の資産で返済せざるを得なくなります。
借入状況や保証の有無は、亡くなる前の段階で親子で
一度棚卸ししておくと、
いざというときの判断が格段にしやすくなります。
【超重要】3つの選択肢と「3ヶ月の壁」
相続が発生した際、私たちは以下の3つの道から一つを選ばなければなりません。
単純承認: すべて(プラスもマイナスも)を相続する。
相続放棄: すべてを放棄する。借金が多い場合に有効。
限定承認: プラスの財産の範囲内でのみマイナスを返済する。
⚠️ ここが最重要 ⚠️
相続人になったことを知った日から原則「3ヶ月以内」に、
限定承認や相続放棄をするかどうかを家庭裁判所へ申述する必要があります。
【タイムライン例】
・1月1日:親が死亡
・1月10日:葬儀・初七日で手続き開始できず
・2月1日:ようやく銀行や役所を回り始める
・3月1日:まだ財産の全容が見えない…
・4月1日:期限切れ → 自動的に「単純承認」扱い
この期間を過ぎて何もしないままでいると、
結果的に単純承認を選んだものとみなされ、
借金を含めてすべてを引き継ぐことになります。
「迷ったら早めに専門家に相談する」
これがビジネスパーソンにとって最も重要なリスク管理です。
今からできるリスク管理
相続トラブルの多くは「何がどこにあるか分からない」という情報の不透明さ
から生まれます。
多忙なビジネスパーソンこそ、平時から「財産目録」の作成を親に
提案しておくべきです。
財産目録といっても、立派な書類である必要はありません。
どの銀行に口座があるか:
口座の有無が分かるだけでも、相続時の調査時間が大幅に短縮されます。借入金や保証の有無はどうなっているか
ネット証券などのID・パスワード管理はどうするか:
家族がログインできないと、資産の存在自体が分からなくなることがあります
これらを一覧にするだけで、いざという時の調査時間を大幅に短縮できます。
【親子で話すきっかけの作り方】
「終活の話なんて縁起でもない」
そう思う親世代は多いです。
でも、こんな切り出し方なら自然です:
▼ 切り出し方1:自分の体験から
「会社の同僚が親の相続で大変だったって聞いてさ。
うちは大丈夫だとは思うけど、念のため確認させてくれない?」
▼ 切り出し方2:ニュースをきっかけに
「デジタル遺産でトラブルってニュースでやってたけど、
お父さん、ネット銀行とか使ってる?」
▼ 切り出し方3:実用的なメリットを強調
「もし急に入院とかなったら、どの銀行から医療費払えばいいか
分からないから、リスト作っておこうよ」
「家族を守るためのビジネスライクなリスクヘッジ」
そう割り切って、早めに着手することが最善の策です。
いちばん現実的なツール例
代表的なツールは、難しい専用ソフトではなく「テンプレート+身近なアプリ」で十分です。
作成した資産目録は、クラウド共有で家族と見える化すると
変更があったときにもすぐに共有できます。
デジタル資産は、パスワード管理アプリとセットで管理してください。
Excel/Googleスプレッドシート
【財産目録テンプレート例】
列項目の例: 「区分(預金・不動産など)/金融機関・場所/内容(支店名・地番など)/残高・評価額/備考」。 合計行にSUM関数を入れておけば、総額を自動集計できるので、 相続税や遺産分割の検討にも使いやすいです。
この表を年1回(年末など)更新するだけで、
いざという時の調査時間が数週間→数時間に短縮されます。
Word/Googleドキュメント
「預貯金」「不動産」「有価証券」「保険」「借入金」のように見出しを分け、
箇条書きで書き出すだけでも立派な財産目録として機能します。
【まとめ】相続で後悔しないために、今日からできること
相続は、プラスの資産だけでなく、
マイナスの負債もセットで引き継ぐ「パッケージ」です。
✓ プラスの財産:デジタル遺産を含め、網羅的な調査が必要
✓ マイナスの財産:借金や連帯保証人の地位というリスクを忘れない
✓ 決断の期限:相続放棄の検討を含め、期限はわずか「3ヶ月」
✓ 今できること:親子間で財産目録を作成し、情報の透明化を図る
【今週末にやるべきこと】
□ 親に「財産目録を一緒に作ろう」と提案する
□ この記事のテンプレートをダウンロードorコピーする
□ 自分自身の資産も整理し始める(配偶者・子供のために)
相続を「感情」だけで処理せず、
「情報収集と意思決定」のプロセスとして捉えること。
それが40〜50代のビジネスパーソンに求められる姿勢です。
次回は、実際に相続が発生したときに
「最初の1週間で何をするか」という具体的なステップを解説します。
後悔しないために、今日から少しずつ家族での対話を始めてみませんか。
では、またね~







