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「え、もう3ヶ月過ぎてる!?」
会社の同僚(52歳)が真っ青な顔で税理士に言われた言葉です。
父が亡くなったのは4月。
葬儀、四十九日、遺品整理…
仕事を休めない中、バタバタと過ごしているうちに、
気づけば7月末。
「父には借金があったかもしれない」
そう思って相談に行った時には、
すでに相続放棄の期限(3ヶ月)を過ぎていました。
結果、父の事業資金の連帯保証債務800万円を
相続することになったのです。
相続は「時間との戦い」。多忙なビジネスパーソンがハマる期限の罠
「親が亡くなった後は、しばらく四十九日などで落ち着く暇もない……」
そう思っている間に、相続の時計は残酷に刻まれています。
相続手続きは、単なる事務作業ではなく、
法律で厳格に定められた「期限」との戦いです。
特に、責任ある立場で日々多忙を極める40〜50代にとって、
最も恐ろしいのは
「知らぬ間に期限が過ぎていた」ことによる不利益です。
手続きが遅れるだけで、
本来払わなくていい税金を課されたり、
親の借金を一生背負うことになったりするリスクがあります。
今回は、絶対に忘れてはならない
「3ヶ月」「4ヶ月」「10ヶ月」の3つのデッドラインを軸に、
賢い立ち回り方を解説します。
【相続手続きの3つの重要期限】
| 期限 | 手続き・内容 | 遅れた場合のリスク |
| 3ヶ月以内 | 続放棄・限定承認 | 借金も相続(取り消し不可) |
| 4ヶ月以内 | 準確定申告 | 延滞税・無申告加算税 |
| 10ヶ月以内 | 相続税申告・納税 | 特例が使えず大幅増税 |
この3つの期限を過ぎると、
取り返しのつかない事態になります。
一つずつ、詳しく見ていきましょう。
相続は「時間との戦い」。多忙なビジネスパーソンがハマる期限の罠
「親が亡くなった後は、しばらく四十九日などで落ち着く暇もない……」
そう思っている間に、相続の時計は残酷に刻まれています。
相続手続きは、単なる事務作業ではなく、法律で厳格に定められた
「期限」との戦いです。
特に、責任ある立場で日々多忙を極める40〜50代にとって、
最も恐ろしいのは「知らぬ間に期限が過ぎていた」ことによる不利益です。
手続きが遅れるだけで、本来払わなくていい税金を課されたり、
親の借金を一生背負うことになったりするリスクがあります。
今回は、絶対に忘れてはならない「3ヶ月」と「10ヶ月」の2つの
デッドラインを軸に、賢い立ち回り方を解説します。
3ヶ月の壁:借金を背負わないための「相続放棄」と「限定承認」の決断
最初の大きな壁は、
相続開始を知った日から「3ヶ月以内」にやってきます。
この期限までに判断しなければならないのが、
「プラスの財産もマイナスの財産(借金)もすべて引き継ぐかどうか」です。
【3ヶ月の罠:実際のタイムライン】
4月1日:父が死亡
↓
4月10日:葬儀・初七日(仕事を2日休む)
↓
4月15日:やっと通常業務に復帰
↓
5月1日:四十九日の法要準備
↓
5月20日:四十九日法要
↓
6月1日:やっと銀行や役所を回り始める
↓
6月15日:「父に借金があったかも」と気づく
↓
6月30日:★期限切れ(3ヶ月経過)
→ この時点で自動的に「単純承認」扱い
→ 借金も含めて全て相続確定😱
もし親に多額の借金がある場合、
この3ヶ月以内に家庭裁判所へ
「相続放棄」の申し立てをしなければなりません。
期限を1日でも過ぎれば、
自動的に借金を含めたすべての遺産を相続した(単純承認)と
みなされます。
仕事のプロジェクトに追われている間に、
「会ったこともない債権者から督促状が届く」という事態を避けるためにも、
最初の3ヶ月での財産調査は最優先事項です。
【今すぐやるべきこと】
□ 親が亡くなったら、まず「財産・負債リスト」を作る
□ 銀行、証券会社、クレジットカード会社に照会
□ 連帯保証人になっていないか確認(信用情報機関に照会)
□ 少しでも不安なら、1ヶ月以内に弁護士・司法書士に相談
⚠️ 4ヶ月の意外な盲点:亡くなった人の確定申告「準確定申告」とは?
「3ヶ月」のすぐ後に、もう一つの隠れた期限があります。
それが、相続開始から「4ヶ月以内」に行う「準確定申告」です。
これは、亡くなった方がその年の1月1日から死亡した日までに得た
所得について、相続人が代わりに確定申告を行う手続きです。
【準確定申告が必要なケース】
✓ 親が自営業・フリーランスだった
✓ 不動産収入(家賃収入など)があった
✓ 給与が2,000万円を超えていた
✓ 年金以外に株式の配当などがあった
✓ 高額な医療費を支払っていた(還付が受けられる)
【見落としやすい理由】
10ヶ月後の相続税申告ばかりに目が向きがちで、
この4ヶ月目の手続きを失念するケースが多発しています。
もし期限を過ぎると:
・延滞税が発生(年2.4%〜8.7%)
・無申告加算税(最大20%)
・医療費控除などの還付が受けられない
【対策】
親が亡くなったら、
まず税理士に「準確定申告が必要か」を確認しましょう。
特に自営業・不動産収入がある場合は、
亡くなってから1ヶ月以内に税理士に相談するのが安全です。
【例外】期限延長が認められるケース
原則として期限の延長は認められませんが、
以下のような特別な事情がある場合は例外的に認められることがあります。
■ 3ヶ月の期限延長
・相続財産の調査に時間がかかる正当な理由がある
・海外に住んでいて帰国できない
→ 家庭裁判所に「期間伸長の申立て」を行う
■ 10ヶ月の期限延長
・災害により申告が困難
・相続人が重い病気で入院中
→ 税務署長に「申告期限の延長申請」を行う
ただし、これらは「やむを得ない事情」がある場合に限られ、
「仕事が忙しい」「親族と連絡が取れない」程度では認められません。
「期限延長ができるかも」と甘く考えず、
原則通りの期限内に完了させることを前提に動きましょう。
10ヶ月の最終期限:相続税の申告・納税。遅れると発生する恐ろしい罰則
そして、最も有名なのが
相続開始から「10ヶ月以内」という期限。
これは「相続税の申告および納税」の締め切りです。
「10ヶ月もあれば余裕だ」
そう思うのは禁物です。
【実例:Bさん(50歳会社員)の大失敗】
父が1月に死亡。
遺産は実家(評価額8,000万円) + 預貯金3,000万円 = 計1.1億円
相続人は母・Bさん・弟の3人
基礎控除:4,800万円
本来なら「小規模宅地等の特例」で
実家の評価額を80%減額できるはず
→ 8,000万円 × 80% = 6,400万円の減額効果
ところが、遺産分割協議が難航。
弟が「実家を売って現金で分けたい」と主張し、
話し合いが平行線に。
気づけば11月(10ヶ月経過)
→ 期限を過ぎたため「小規模宅地等の特例」が使えず
→ 相続税が約400万円増加😱
この期間内に、
遺産をどう分けるかの「遺産分割協議」を成立させ、
納税額を算出し、実際に現金で納付しなければなりません。
もし期限に遅れると:
【税金面の罰則】
・無申告加算税(15%〜20%)
・延滞税(年2.4%〜8.7%)
【特例が使えない致命的損失】
・配偶者の税額軽減(最大1.6億円まで非課税)
・小規模宅地等の特例(土地評価80%減額)
これらの特例が使えないだけで、
数百万円〜数千万円の追加負担となる可能性があります。
逆算スケジュール:10ヶ月は短い?仕事と両立させるためのタスク管理術
ビジネスのプロジェクト管理と同様、
相続も「ゴールからの逆算」が必要です。
実は、10ヶ月という期間は、
親戚間での協議が難航したり、
不動産の評価に時間がかかったりすると、
あっという間に消えてしまいます。
【相続手続きの逆算スケジュール】
■ 1ヶ月目(死亡〜1ヶ月)
□ 死亡届の提出(7日以内)
□ 遺言書の確認(公証役場・自宅)
□ 相続人の特定(戸籍謄本の収集開始)
□ 葬儀費用の領収書を保管
目安:週1回、土日に3〜4時間
■ 2〜3ヶ月目(1ヶ月〜3ヶ月)
□ 財産目録の作成
– 銀行・証券会社への残高照会
– 不動産の評価額調査(固定資産税評価証明書)
– 借金・保証債務の確認
□ 相続放棄・限定承認の判断
□ 相続放棄する場合は家庭裁判所へ申述(3ヶ月以内)
目安:平日の夜+週末、合計20〜30時間
⚠️ この時点で税理士に相談開始を推奨
■ 4ヶ月目
□ 準確定申告(亡くなった人の確定申告)
目安:税理士に依頼すれば数時間
■ 5〜6ヶ月目(3ヶ月〜6ヶ月)
□ 遺産分割協議(ここが一番時間がかかる!)
– 親族全員で話し合い
– 不動産をどうするか(売却 or 相続)
– 遺産分割協議書の作成
目安:月2〜3回の話し合い、各2〜3時間
⚠️ 親族が遠方の場合、調整だけで1〜2ヶ月かかることも
■ 7〜9ヶ月目(6ヶ月〜9ヶ月)
□ 相続税の計算(税理士に依頼推奨)
□ 納税資金の準備
– 預貯金から捻出
– 不動産を売却する場合は売却手続き
– 物納・延納の検討
目安:税理士との打ち合わせ月2回、各1時間
■ 10ヶ月目(最終月)
□ 相続税申告書の提出
□ 相続税の納付(現金一括が原則)
目安:税理士が作成、最終確認に2〜3時間
【重要】
多忙なあなたに求められるのは、
早めに専門家(税理士や司法書士)という「外部リソース」を確保し、
タスクを外注する決断力です。
【費用の目安】
・税理士報酬:遺産総額の0.5%〜1%
(遺産1億円なら50万円〜100万円)
・司法書士報酬:10万円〜30万円(不動産登記など)
「高い」と思うかもしれませんが、
期限を過ぎて特例が使えなくなるリスク(数百万円)と比べれば、
はるかに安い「保険料」です。
【まとめ】「いつかやる」では間に合わない。期限を制する者が相続を制す
相続手続きにおける期限の重要性を、改めて整理しましょう。
✓ 3ヶ月以内:相続放棄の決断期限。遅れると「借金」も相続
✓ 4ヶ月以内:準確定申告(亡くなった人の税務申告)の締め切り
✓ 10ヶ月以内:相続税の申告・納税期限。遅れると特例が使えず増税
【今日からできる準備】
親が元気なうちに:
□ 財産目録を作ってもらう(銀行口座、不動産、借金の有無)
□ 遺言書の作成を勧める
□ 信頼できる税理士・司法書士を探しておく
親が亡くなったら:
□ すぐにカレンダーに3つの期限を書き込む
– 死亡日から3ヶ月後
– 死亡日から4ヶ月後
– 死亡日から10ヶ月後
□ 1ヶ月以内に税理士・司法書士に相談
□ 財産調査を最優先で開始
40〜50代のビジネスパーソンにとって、
相続は「最後の大仕事」の一つです。
しかし、仕事と違って期限の延長は原則認められません。
「知らなかった」
「忙しくて手が回らなかった」
そんな言い訳は、法律には通用しません。
まずはカレンダーにこれらの日付を書き込み、
必要であればプロの手を借りることで、
大切な資産と家族の平穏を守り抜きましょう。
関連記事:
→ 【第1回】相続の全体像(プラス・マイナスの財産)
→ 【第2回】法定相続人の優先順位
→ 【第3回】遺産分割協議の進め方
→ 【第4回】相続税の基礎控除
→ 【第5回】相続放棄の手続き方法
【次回予告】
次回は「 不動産相続の難しさ。家を「分ける」ための3つの方法」について、
不動産相続の難しさを解説します。
では、またね~






