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アンデルセン「モミの木」に学ぶ幸福論|「いつか」ではなく「今」を生きる

アンデルセン「モミの木」に学ぶ幸福論|「いつか」ではなく「今」を生きる

シルスプのブログにようこそ

「定年したら、夫婦で旅行に行こう」
「子供が独立したら、趣味に時間を使おう」
「あと5年我慢すれば、役職定年で楽になる」

そう言いながら、毎日満員電車に揺られ、
理不尽な会議に耐え、週末は疲れて寝るだけ。

「今は辛いけど、いつか幸せになれる」
そう自分に言い聞かせて、何年経ちましたか?

アンデルセン童話と聞いて、どのような物語を思い浮かべるでしょうか。
「人魚姫」や「マッチ売りの少女」のような、切なくも美しい物語でしょうか。

しかし、アンデルセン作品の中で最も
「現代のビジネスパーソンにとって残酷で、かつ痛烈な教訓を含む物語」
と言えば、間違いなく『モミの木』です。

この物語の主人公は、ただひたすらに「未来」だけを見つめ、
「現在」を否定し続けた結果、
何一つ楽しむことなく一生を終えてしまいます。

これ、他人事でしょうか?

【物語のあらすじ】30秒で分かる『モミの木』

森に生えている小さなモミの木。
太陽の光、小鳥の歌、遊びに来る子供たち…
恵まれた環境にいるのに、彼は不満だらけでした。

「早く大きくなりたい」
「広い世界へ出ていきたい」

ついにクリスマスツリーとして選ばれ、
華やかに飾られる夢が叶います。

しかし、幸せの絶頂でさえ
「明日はもっと飾ってもらえるだろうか?」と心配ばかり。

翌日、屋根裏部屋に放置され、
最後は薪として燃やされながら
「過ぎ去ってしまった! 終わってしまった!」と後悔します。

では、この物語が私たち40代・50代に
何を教えてくれるのか、読み解いていきましょう。

「もっと大きくなりたい」という渇望。プロセスを無視する「いつか幸せになる症候群」

物語の主人公は、森に生えている小さなモミの木です。
彼は恵まれた環境にいました。
暖かい太陽の光、新鮮な空気、遊びに来る子供たち、
そして歌をうたう小鳥たち。
しかし、モミの木はそれらに全く関心を示しません。

彼の頭の中は、渇望で一杯でした。
「早く大きくなりたい」
それだけです

「ああ、早く大きくなりたい! そうすれば、
広い世の中へ出ていけるのに」

ウサギが彼を飛び越えていくと、
彼は自分の小ささを恥じて惨めな気持ちになりました。

木こりがやってきて仲間の木を切り倒すと、
彼は恐怖するどころか
「彼らはどこへ行くのだろう? きっと素晴らしい場所へ行くに違いない」と、
見知らぬ世界への憧れを募らせます。

船のマストになったり、煌びやかな部屋に飾られたりすることを夢見て、
現在の森での生活を「退屈で価値のない通過点」としか捉えていないのです。

これ、心理学では何と呼ばれているか知っていますか?
いつか幸せになる症候群(Deferred Happiness Syndrome)」です。

ハーバード大学の研究によると、
人は「未来の幸福」を実際の2〜3倍過大評価し、
「現在の幸福」を過小評価する傾向があるそうです。

つまり、
「昇進すれば幸せ」と思っていても、
実際に昇進した時の幸福度は期待の半分以下。

一方で、今の日常にある小さな喜び
(朝のコーヒー、同僚との雑談、帰宅時の夕焼け)を
私たちは「価値がない」と無視しているのです。

「課長になれば」
「年収が1000万を超えれば」
「子供が独立すれば」

私たちもモミの木のように、
現在の日常にある小さな喜び(太陽や小鳥の声)を無視し、
まだ見ぬ未来のステータスに執着していないでしょうか?

「今」を楽しまず、常に「ここではないどこか」を夢見る姿勢は、
不幸への入り口なのです。

クリスマスの夜の悲劇。成功の瞬間にさえ「次」を心配する病

ついにモミの木に、待ちに待った瞬間が訪れます。
森から切り出され、ある家のクリスマスツリーとして選ばれたのです。美しく飾り付けられ、ロウソクが灯され、子供たちが歓声を上げます。彼が夢見た「輝かしい未来」が、まさに現実となったのです。

しかし、ここで恐ろしいことが起こります。
モミの木は、その幸福の絶頂をまったく楽しめなかったのです。

ロウソクの火が葉に燃え移るのではないかと恐怖し、
飾りが落ちないか気が気でない。

「明日はもっと飾ってもらえるだろうか?」
「もっと注目されるだろうか?」と、

ここでも彼は「未来」のことばかり心配していました。
そしてクリスマスの夜が明けると、彼は屋根裏部屋の暗闇に放り込まれます。
ネズミたちに森の話を聞かせながら、彼は初めて気づくのです。
「森にいた頃は、楽しかったな」と。

このエピソードは、ビジネスにおける「目標達成の虚しさ」に通じます。

【実例:Aさん(48歳・部長)の場合】

20年かけて念願の部長職に昇進。
祝賀会では笑顔を見せたものの、
家に帰ると「これから部下の失敗は全て自分の責任か…」
という重圧に押しつぶされそうになりました。

翌週から始まった経営会議では、
さらに上のポジションを目指す同僚たちの姿を見て
「自分はここで満足していていいのか?」と焦り始めます。

昇進という「クリスマスの夜」を、
ほんの数日しか楽しめなかったのです。

昇進が決まったその日から、次の責任へのプレッシャーに怯える。
大きなプロジェクトを成功させても、すぐに次のノルマが頭をよぎる。

「成功」という事実はあっても、
それを味わう「心」がなければ、
幸福感は一瞬たりとも留まりません。

モミの木は、人生最高の夜でさえ、心ここにあらずだったのです。

40代・50代が陥る罠。「定年後の幸せ」のために「今」を死んだように生きていないか?

屋根裏で枯れ果てていくモミの木は、最後に庭に引きずり出され、
男の子たちに踏みつけられながら、薪として燃やされてしまいます。

燃やされるその瞬間、パチパチとはぜる音とともに、
彼は一つ一つ、過去の思い出を振り返りました。

森の太陽、小鳥の声、クリスマスの夜のこと。
「過ぎ去ってしまった! 終わってしまった!」

これが物語の結末です。救いはありません。

【私たちが陥りがちな「幸福の先送り」パターン】

✗ 「定年したら、夫婦で世界一周旅行に行こう
→ 定年後は体力も気力も衰えて、結局近場の温泉で終わる

✗ 「子供が独立したら、趣味に没頭しよう」
→ 独立した頃には、趣味を楽しむ感性が鈍っている

✗ 「あと3年我慢すれば、役職定年で楽になる
→ 役職を降りても、不安と焦燥感だけが残る

✗ 「退職金で〇〇を買おう
→ 退職金をもらう頃には、欲しかったものへの情熱が消えている

この物語が私たち40代・50代に突きつける問いは深刻です。

私たちは「老後の資金」や「引退後の悠々自適な生活」という、
ある種の「クリスマスの夜」を目指して、
現在の20年、30年を「耐え忍ぶだけの時間」にしていないでしょうか。

もちろん、将来への備えは大切です。
しかし、「未来のために現在を犠牲にする」という生き方が常態化すると、
いざ未来が訪れた時、
私たちはそれを楽しむ能力を失っている可能性があります。

モミの木のように、
長年の癖で「次はどうなる?」と心配し続けるか、
「あの頃は若くてよかった」と過去を美化するか、
どちらかになってしまうのです。

人生の折り返し地点を過ぎた今だからこそ、
「幸せを先送りする生き方」のリスクを直視する必要があります。

「今、ここ」にある陽の光に気づく。後悔しない人生へのマインドシフト

アンデルセンは、物語の中で太陽の光にこう語らせています。

「私の光をよろこんでおくれ!
お前の若さをよろこんでおくれ!
お前の中にある、生き生きとした命をよろこんでおくれ!」

後悔しない人生を送るための鍵は、この言葉に集約されています。

それは、
「今、ここ(Here and Now)」にある充足感を味わう能力を取り戻すことです。

【3つのマインドシフト】

① プロセスの肯定:

目標(未来)だけでなく、そこに向かう日々の努力や変化(現在)
そのものを楽しむ。

② 日常の再発見:

オフィスの窓から見える空、同僚との何気ない雑談、帰宅後のビール。
当たり前すぎて無視していた「森の小鳥たち」に意識を向ける。

③ 足るを知る:

「もっと」と渇望するのを一度止め、
既に手の中にあるキャリアや家族、健康に感謝する。

 

【今日からできる実践ワーク】

■ ワーク1:「3つの良かったこと」日記(3分/日)

寝る前に、今日起きた良かったことを3つ書き出す。

例:
・朝のコーヒーが美味しかった
・同僚が資料作成を手伝ってくれた
・帰り道、綺麗な夕焼けを見た

「大きな幸せ」ではなく
「小さな良いこと」に目を向ける訓練です。

■ ワーク2:「今、ここ」チェックイン(1分/数回)

1日に数回、立ち止まってこう問いかける:

「今、自分は何を感じている?」
「今、目の前に何がある?」
「今、呼吸はどうなっている?」

未来への不安や過去への後悔から、
「現在」に意識を戻す練習です。

■ ワーク3:「もし今日が最後だったら?」(週1回/10分)

週に一度、こう自問してみる:

「もし今日が人生最後の日だったら、
今日一日をどう過ごしたい?」

このワークは、
「いつか」ではなく「今日」の価値に気づかせてくれます。

 

モミの木は、燃やされる最期の一瞬まで
「今日こそは楽しくなるだろう」と期待し続けました。

私たちは、そうあってはなりません。

いつか幸せになるのではありません。
幸せとは、未来のゴールテープにあるものではなく、
今日という道のりの足元に転がっているものなのです。

40代・50代の今こそ、未来への焦燥感を手放し、
今日という一日を深く味わう「大人の生き方」へとシフトチェンジしていきましょう。

【まとめ】 モミの木に学ぶ、後悔しない人生の歩み方

アンデルセン童話「モミの木」は、
未来への憧れと野心に生きるあまり、
現在の幸せを見失った悲劇の物語です。

✓ 「早く大きくなりたい」と願い続けたモミの木は、
森の恵みもクリスマスの栄光も味わえなかった

✓ これは「いつか幸せになれる」と信じて
「今」を犠牲にし続ける現代人への警鐘

✓ 特に40代・50代は、「定年後の幸せ」のために
現在の20年、30年を耐え忍ぶ時間にしがち

✓ 幸福とは未来のご褒美ではなく、
日々の仕事・家族・季節の中に既にある

 

【今日から始める「今、ここ」を味わう習慣】

□ 寝る前に「3つの良かったこと」を書き出す
□ 1日数回「今、何を感じている?」と自問する
□ 週に一度「もし今日が最後だったら?」と問いかける

人生の後半戦を後悔のないものにするために。

未来という幻想を追うのを少し休み、
目の前にある「陽の光」を喜びましょう。

今日という二度と来ない一日を慈しむことこそが、
本当の意味での「豊かな人生」なのです。

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では、またね~